"to work"と"labor"の違いを英語音痴なりに調べてみる

 わたしは長野県出身なので、「戦前の日本はねえ、朝鮮や中国の人たちを強制連行して強制労働させたんだよ」と世間から聞かされて育ちました。
 とくに発電所や鉄道はそういう人たちの犠牲の上に出来上がったのだという"常識"が、県内には定着していたように思います。強制という言葉にはインパクトがありますから、きっと手枷足枷をはめさせられた奴隷みたいな人たちが、ムチで殴られながら働いていたんだろうなと漠然と思っていました。嫌韓ネトウヨに転向する2012年までは、そういう認識にとくに疑いも持たなかったのです。

 そういう経験からすると、「日本は強制労働なんかさせてない!」と言い張る日本政府に対し、信濃毎日新聞がダンマリを決め込んでいる現状が、とても不思議というか、時代は大きく変わったんだなあとしみじみ思います。今回の世界遺産登録に関連して信毎が行った主張といえば、2015年7月7日の「光と影共に学ぶ機会に」と題した社説で「負の歴史を学べる場をしっかりつくる必要がある」と言っただけ。「強制労働」という言葉の評価については踏み込んでいません。
 でも、信毎はつい最近(数年前)までごく当たり前に「強制連行」「強制労働」って言葉を使っていたように記憶しているんですがねえ。だとすれば、いま反論しておかないと過去の自分たちの報道が不適切だったと認めることにもなりかねないと思うんですが。そのうち図書館で過去記事を調べてみよう。

 "forced to work"と"forced labor"はどう違うのか。
 韓国は「違わねえよ、どっちも強制連行だよ!」と叫びますし、日本政府は「全然ちげーよ!」と言い張りますし。
 ネトウヨ界の大半はすっかりご立腹で、結果的に韓国政府と歩調を合わせて日本政府を叩く構図になっているのが面白いです。

 日本政府が forced to work にこだわったのは、強制労働に関する条約(Forced Labour Convention)に抵触するものではないということを主張したかったからだそうですが、韓国からは「国際裁判やILOの解説資料にも強制労働の被害を forced to work と表現している」という反論が出ています(7月7日の中央日報)。
 国際法についてはわたしのような素人が手を出せる問題ではありませんが、英語に疎いわたしでも二つの言葉のニュアンスの違いを理解できないものかと、ためしにWeblio英語翻訳を使ってみると、こうなりました。

forced to work

機械翻訳の結果

  1. 働くことを強いられます
  2. 職場に移動されます
  3. 働くために強制されます


「forced to work」に類似した例文

He works of necessity―He is under the necessity of working―obliged to work―compelled to work―forced to work―constrained to work.
彼はやむを得ず働くのだ - 斎藤和英大辞典

He was forced to work overtime.
彼は無理やり残業させられた。 - Tanaka Corpus

He is forced to work instead of going to school.
彼は学校に行かないで働かざるをえない。 - Weblio Email例文集

He was forced to work part-time to study abroad.
彼は留学するためにバイトをせざるを得なかった。 - Tanaka Corpus

forced to work

forced labor

機械翻訳の結果

  1. 強制労働
  2. 強制的労働
  3. 強制的労働組合


「forced labor」に類似した例文

forced labor
強制労働. - 研究社 新英和中辞典

Prohibition of Forced Labor
強制労働の禁止 - 日本法令外国語訳データベースシステム

Actual situations of forced labor
強制労働の実態 - Wikipedia日英京都関連文書対訳コーパス

d. Forced international movement…refugees and displaced persons, forced labor in wartime
d. 強制による国際移動…難民や避難民、戦時中の強制労働 - 経済産業省

forced labor
 なるほど。 forced to work  は日常生活の中でもよく使われ、「やむをえず働く」「親や上司に言われていやいややる」みたいなニュアンスも含みますが、 forced labor  はほとんど行政・法律用語であり、人権問題と密接に関連している印象です。とくに例文の差が分かりやすいですね。

 ロケットニュースに、米国人に forced to work のニュアンスを尋ねた記事が出ていました。
 内容を要約すると以下のようです。
http://rocketnews24.com/2015/07/08/605825/

30代男性
forced to work は「自分たちの意思通りにできたのなら働かなかった」という意味も含まれる。“forced” は「したくないことをさせられた」とのニュアンスがある。

30代女性
「force to ~」は普通に「無理やり~させる」という意味。「終電に乗り遅れて歩くしかなかった」など、「するしかなかった」という場合にも使われるが、炭鉱などで働かされる状況で使われるのなら「強制労働」と理解されるだろう。

30代女性
forced labor はとても深刻なケースだが、forced to work はもう少し日常的なケースでも使われる。「お母さんに無理矢理働かされた」という場合、forced to work は使えるが forced labor は言い過ぎ。forced labor は人権侵害 があるときだけ使われていると思う。


 この結果を受けて記事では

『forced to work』は外国人に『強制労働』と受け取られてしまうのかアメリカ人に聞いてみた / 全員が「受け取る」という結果に

 とのタイトルを付けていました。forced to work は広い意味で使われる言葉なので、その解釈は文脈に大きく左右されるということでしょう。

 思うに、 forced to work と forced labor の違いは、シャレになるかならないかということじゃないでしょうか。
 試しにそれぞれの言葉でGoogleの画像検索をかけてみると、イメージの差はけっこう歴然としています。

forced to work
forced to work2

forced labor
forced labor2

 forced to work の方は"Born to xx,Forced to work"という慣用句でかなりファッショナブルに使われているようですが、 forced labor の方は…ああ、こりゃ確かに強制労働だわw
 こうしてみると、日本側が「forced labor 呼ばわりされるくらいなら forced to work で妥協する方がまし」と判断した気持ちも理解できます。

 この画像検索というアイデアはリテラの記事を通じて得たのですが、執筆した野尻民夫さんは必死に「同じ画像だっていくつも出てきた!どっちも同じだ!」と主張しています。

http://lite-ra.com/2015/07/post-1256_3.html

 たとえば、『ひるおび!』の八代弁護士はこんな風に説明して、安倍政権をアシストしていた。
「検索で「forced labor」と入れると、奴隷のようなものが出てくるが、「forced to work」はブラック企業のようなもので、ニュアンスがまったくちがう」
 ブラック企業ならたいしたことないというような言い草も弁護士としてどうかと思うが、試しに「forced labor」「forced to work」を、それぞれ画像検索してみたところ、広い農場や収容所のようなところで大量の人が働かされている画像や、子どもが働かされている画像など、「forced labor」の検索結果と同一の画像が「forced to work」のほうでも、いくつも出てきた。


 うーん、ネトウヨのわたしとしては「いくつも」を「いくつか」に訂正要求したくなりますがね。

 こういう結果を見ると、「いったいどこが違うんだ!」という韓国側の主張も少し胡散臭くなってきます。

2015年7月7日朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/07/07/2015070700502.html

 外信記者や学者たちは「何が違うのか分からない」と言った。アジアで10年以上活動したイギリス特派員は「英語で記事を書き、本を書き、デスクの仕事をする私もニュアンスの違いが分からない。強さの差はない」と語った。韓国が望んだ「労働(labor)」と、日本が望んだ「働く(work)」は、後者の方が多少一般的な言葉であるだけで、どちらの方がもっと強いとか、弱いとかいうことではない。


 一方、聯合ニュースの報道では、マイク・ホンダ氏がまったく違う解釈を述べています。
http://japanese.yonhapnews.co.kr/relation/2015/07/07/0400000000AJP20150707000800882.HTML

 ホンダ氏はこの日、聯合ニュースのインタビューに答え、日本は「forced lavor」(強制労働)という言葉を使うことを避け、代わりに日本語で「働かされた」という意味の「forced to work」を使っているとしながら、これを「はるかにおとなしい口語的な表現」と指摘した。


 こちらの方が、機械翻訳や画像検索、ロケットニュースの証言に近いですね。朝鮮日報が偏っているのかもしれませんし、米英ではニュアンスが異なるのかもしれません。わたしには判断がつきかねます。

 今回の件で不毛だなーと思うのは、この問題における「強制」および「強制労働」という言葉の定義がほとんど議論されていないことです。ロケットニュースの記事に登場してた米国人の皆さんが「強制労働」という日本語についてどれほど理解しているのか? ていうか大半の日本人だってよく分かってないんじゃないのかしら。

 朝鮮人労働者の場合、募集や官斡旋が強制だったかどうかについては当然ながらサヨク(&韓国)とウヨク(&日本政府)では真っ向から対立していますし、戦時徴用に至ってはウヨクの間でも「強制だが合法だ」という人(池田信夫)もいれば、「合法だから強制とは呼べない」という人もあります。さらにいえば、慰安婦問題で議論になった強制性の「広義」と「狭義」の違いとどう関連するのか(しないのか)もよくわかりません。

 要するに、強制性と違法性をイコールで結んでいいのかどうかすらよくわからない状況です。そんな状況のまま国際法や個人訴訟、日韓基本条約とその関連協定の解釈、日韓併合の合法性などをめぐる意見対立が覆いかぶさってくるのですから、ややこしいことこの上ありません。

 ま、とにもかくにも法的責任論をふっかけてきても相手にしないぞ、と断固とした態度を日本が示すのは意義あることだと思います。
 韓国の側にも、ちょっとダブルスタンダードな印象を覚えるんですよね。これまで慰安婦を「悲劇の性奴隷」として世界中に宣伝してきた一方で、男性同胞を「悲劇の男奴隷」として持ち上げている様子はありません。慰安婦や挺身隊のハルモニたちがまるで聖女のように扱われているのに対して、ずっと数が多かったはずのハラボジたちの影が薄いこと薄いこと。
 こういうところに、人権そのものより"利用価値"を重視する韓国の姿勢が透けて見える気がしてしまうのは、やはりわたしがネトウヨだからでしょうか。
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【世界遺産戦争】安倍外交の図々しさに未来を託せ

 今回の世界遺産登録は微妙な後味が残りました。これが対韓外交の醍醐味というやつでしょうか。醍醐というのはチーズのようなものと言われておりますが、だとしたら表面にカビが生えてたり中からウジが顔を出したりするのも当然かもしれません。

 登録委員会が開かれていた最中、日本の嫌韓派の中には、「韓国が日本の産業革命遺産に難癖つけているのに、どうして日本は韓国の百済歴史地区に反対しなかったんだ!?」と苛立つ人々も見受けられましたが、あれはいかがなものかと思いました。たんなる私怨や対抗意識でイコモス勧告に逆らえるわけがないじゃないですか。韓国じゃあるまいし。

 また、「韓国に少しでも譲歩するくらいなら登録されないほうがよかった」「むしろ登録されなければ日本が嫌韓一色に染まって面白くなったのに」という意見もありましたが、わたしはそうは思いません。
 登録に失敗すれば朴槿恵政権にむざむざ外交的勝利を与えることになりますし、日本国内では安倍政権の不手際を責める声が強まったことでしょう。ただでさえ安保関連法案や自民党若手議員の発言で守勢に立たされている状況で世界遺産登録に失敗すれば、まさに「泣きっ面に蜂」状態になるところでした。さらにサッカー女子W杯決勝での大敗が重なりましたから、日本国民が受ける精神的ダメージはかなりのものがあったはずです。
 安倍政権の安定が揺らげば、対中対韓外交にも不安が生じます。韓国相手の交渉では多かれ少なかれ必ず後味の悪さがつきまとうのですから、それなら世界遺産登録という実利を得ておいたほうが明らかに得です。

 日本国内では大手マスコミを含め「土壇場で韓国に裏切られた」という空気ですが、登録決定後に日本政府がすぐさま「代表団の言った forced to work ってのはべつに強制労働の意味じゃないから」と表明したことを受け、韓国国内では「やっぱりチョッパリに後頭部を殴られた」「外交部はなにやってたんだ」と不満が爆発しています。

7月7日 聯合ニュース日本語版
http://japanese.yonhapnews.co.kr/relation/2015/07/06/0400000000AJP20150706003800882.HTML

韓国与野党 強制労働の解釈めぐり批判=世界遺産

(前略)
 一方、最大野党、新政治民主連合の金瑛録(キム・ヨンロク)首席報道官は論評で「韓国の外交が再び日本政府に不意打ちされる情況が続々とあらわれている」とした上で、「外交部は日本が初めて『強制労役』を認めたと宣伝したが、すぐに日本からこれを否定する解釈が出た」と指摘した。

 また、「尹炳世(ユン・ビョンセ)長官が外交的成果と自負している『強制労役』の表現も、日本語版の訳では『働かされた』とのみ表記されている」とした上で、「曖昧な表現がかえって混乱だけ加速させた」と主張し、外交部と尹長官を批判した。


7月6日 朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/07/06/2015070602549.html

明治産業施設の世界遺産登録 「韓国外交の恥」=市民団体

【光州聯合ニュース】韓国の市民団体「勤労挺身隊ハルモニ(おばあさん)とともにする市民の集まり」は6日、戦時中に朝鮮人が強制労働させられた施設が含まれる「明治日本の産業革命遺産」の国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界文化遺産登録が決まったことについて、「韓国政府の外交的野合であり恥だ」と非難する声明を出した。

 世界遺産委員会が行われたドイツで発表された声明は「徴用施設の世界遺産登録は現政権の外交的な屈辱だ」と主張。「強制労役」が行われた歴史を認めただけで、謝罪や反省とは程遠いと指摘した。


7月6日 ハンギョレ日本語版
http://japan.hani.co.kr/arti/politics/21244.html

日本政府、インクも乾かぬうちに「強制労働」で別の解釈

 韓国でも批判論が提起された。(日帝強制占領期の)親日(附逆)問題研究機関である民族問題研究所は、「政府はやっと『強制労働』という単語一つ得たことを外交的成果として自画自賛している」と指摘した。 ト・ジョンファン新政治民主連合議員は声明を出して「(韓国)政府は征韓論者である吉田松陰が作った私設学堂『松下村塾』の登録に反対意見も出さなかった。 政府は7カ所の強制徴用施設に対しても日本の自主撤回を要求すべきだった」と話した。


 登録が実現したうえに、日韓双方の政府と市民が相手国への不信感を募らせる結果になったんですから、ある意味われわれネトウヨが望んだ通りとも言えます。

 韓国政府とすれば、最大限に譲歩して全会一致で無事登録させてやったのだという思いがありますから、日本側から返ってきた「強制連行とは言ってない」「韓国に裏切られた」という反応はまったく心外なものでしょう。しかもあれだけ頑張ったのに国内世論からも非難を受けるのですから、たまったものではありません。
 さらに来月には安倍談話が待っています。閣議決定すらしないそうですから、韓国にとってはかなり納得いかない内容になるでしょう。そんな状況で日韓首脳会談を実現しなければならないなんて、これは朴槿恵政権にとってかなり難度が高いゲームになりますよ。ブチギレた朴大統領が反日強硬策に舞い戻る可能性だってあるかもしれません。

 一方、日本政府とすれば「河野談話の二の舞はもうごめんだァ!」という強い思いがあります。徴用工や女子挺身隊などをめぐっては以前から訴訟が頻発していますし(参考:過去記事)、今年4月には元徴用工ら670人が日本企業72社を提訴したばかり(下の「続きを読む」参照)。
 どうせ韓国国内の裁判で日本側に勝ち目はないとはいえ、いずれ国際司法裁判所で争うことになった場合、ユネスコでの今回の発言が影響するのは避けたいところです。

 韓国からブーイングが出るのを承知で、登録決定後即座に「『意志に反して連れて来られ労働を強いられた』とは言ったが強制労働とは言ってない(キリッ」と言ってのけた日本政府は、いい度胸してると思いますよ。外交ではでかい声がモノを言うと教えてくれたのは韓国です。「強制労働とは言ってない! 言ってないんだ!」と大きな声で叫び続ければ、結果としてそういうことになるのです。たぶん。
 実際、日本の左派はメディアも政党も特段日本政府の今回の姿勢に異を唱えている様子はありません。一昔前なら、「徴用被害者を傷つける無責任な手のひら返しだ」などと騒ぎ立てる人たちがあってもおかしくなかったところです。

 こうしてみると、安倍政権の外交姿勢は日本のネトウヨが思っている以上に、韓国にダメージを与えているんじゃないかと思います。もちろん、韓国を刺激したことによって多少のリスクは生じるでしょうが。
 わたしが一目置いている反ネトウヨ系ブロガーさんも「やはり日本政府は韓国政府に対して、狡猾さにおいて一枚も二枚も上手」と太鼓判を押しています。韓国を軽々とあしらうくらいの狡猾さを覚えなければ、日本は中国とまともに張り合うこともできないでしょう。



 以下、参考までに徴用工訴訟を報じる日経の記事を転載。

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【世界遺産戦争】誤報の聯合ニュースと捏造の朝鮮日報

 今回の世界遺産騒動では、日韓関係の面倒臭さを改めて思い知らされたというのがわたしの実感です。

2015年7月6日 朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html

世界遺産対立:強制表記拒否の日本、国際社会の圧力に屈す

日本の産業施設、世界遺産登録決定
「韓国人強制労働」明記へ


 日本の「明治日本の産業革命遺産」の国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産登録で、「強制労働」という言葉を入れるかどうかは韓日外交戦の争点だった。ドイツのボンで開かれた世界遺産委員会が、当初4日に予定されていた「明治日本の産業革命遺産」登録審査を一日延期したのも、韓日がこの問題をめぐり最後まで合意できなかったためだ。

 韓国政府の基本姿勢は「日本の植民地支配自体が国際法に違反したまま行われたため、その下で行われた動員は強制労働だ」というものだ。しかし、日本は「労働環境が過酷だったと言っても、労働の対価を支払い、日本人とまったく同じ待遇だったので、強制労働と呼ぶことはできない」と主張した。日本側は「強制労働」という表現が入ると、後に請求権問題の新たな口実になる可能性があると考え、韓国側に修正を要求し続けたという。

 しかし、国際社会で「韓国が日本の施設の登録を反対しない代わりに、日本も該当施設で行われた『全体の歴史』(full history)を反映させなければならない」という世論が広がり、日本も見解を変えるしかない状況になった。特に、世界遺産委員会の議長国・ドイツが「日本の施設の登録決定は来年に先送りすることもできる」と強い圧力を加えたことが「決定的」だったことが分かった。

 このため、日本の和泉洋人代表団長(首相特別補佐官)は同日の会議の発表で、「1940年代に数多くの韓国人や他国民が本人の意思に反して動員され、過酷な条件下で強制的に労働させられた」「第二次世界大戦当時、日本政府も徴用政策を施行したという事実が理解できるようにする措置を取る準備ができている」と述べた。こうした発表内容は登録決定文の本文でなく注釈(footnote)に盛り込まれた。韓国が「実質的な内容」を得たとすれば、日本は「形式」を引き下げることで妥協したのだ。

 韓国政府当局者は「そもそも世界遺産に登録できないよう阻止できればもっと良かったが、これは実現の可能性が高くない。日本が初めて『強制労働』を認める発言を引き出したことに大きな意義がある」と述べた。

イム・ミンヒョク記者

(強調引用者、以下同じ)

 国際世論はウリナラに実質勝利の判定を下したのだから、この勝利を足がかりにして日本の植民地支配の非合法性を世界に訴え、日本から賠償金をふんだくってやるぞ、という韓国側の高揚感が伝わってくるような記事ですね。
 「国際世論の広がり」「国際社会の圧力」……ねぇ。われわれ日本人にはたんに韓国が世界中でゴネまわってただけのように見えましたが、そういうゴネが許容されるような国際社会であることは残念ながら事実のようです。

2015年7月6日 朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/07/06/2015070600524.html

世界遺産対立:日本、国際社会で初めて強制労働認める

「明治日本の産業革命遺産」と「百済歴史遺跡地区」、世界文化遺産に登録
世界遺産委員会の決定文に徴用の事実を表記


 端島(通称:軍艦島)炭鉱(長崎市)など「明治日本の産業革命遺産」を世界文化遺産に登録することを決定した、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会で、日本は「一部の施設で多くの朝鮮半島出身者などが自らの意思に反して(against their will)連れてこられ、厳しい環境の下で働かされ(forced to work)ていた」と述べた。日本が第2次大戦中の強制徴用の事実について国際社会で公式に言及したのは初めてだ。

 5日(現地時間)、ドイツのボンで行われたユネスコの世界遺産委員会で日本は、このような内容を発表し「当該施設での犠牲者を記憶にとどめるために、情報センターの設置など適切な措置を取る」と述べた。日本が発表した内容は「明治日本の産業革命遺産」を世界遺産に登録する決定文に「注釈」の形で盛り込まれた。同委員会はまた、日本が2017年までに当該施設で約束した措置を履行し、関連する報告書を提出することとし、18年の会議でその履行状況を検討することとした。(以下略)
(イム・ミンヒョク記者)


 ひっかかるのは、朝鮮日報が「日本側が会議で発言した内容が登録決定文の注釈に盛り込まれた」と報じている点。これ、日本側のメディアはどこも報じていません。
 どうやらこれにはややこしいカラクリがあるんですね。聯合ニュースは登録決定直後に以下のように報じています。

2015年7月5日 聯合ニュース日本語版
http://japanese.yonhapnews.co.kr/relation/2015/07/05/0400000000AJP20150705001600882.HTML

明治日本の産業革命施設 世界遺産登録決定

【ボン聯合ニュース】国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会はドイツ・ボンで5日(現地時間)、「明治日本の産業革命遺産」(23施設)の世界文化遺産登録を決めた。韓国政府が求めていた朝鮮人の強制労働の歴史は注釈をつける形で間接的に反映させることにした。

 両国は23施設のうち、7施設で朝鮮人の強制労働があった歴史をどう反映するかについて協議を続けて最後に歩み寄り、委員国の全会一致で登録が決まった。

 日本政府代表団は登録決定直前に行なった演説で、1940年代に一部施設で朝鮮半島の多くの人々が本人の意思に反して連れてこられ、厳しい環境で労働を強いられたと明らかにした。また、情報センターの設立など、被害者をしのぶための適切な措置を取る方針を示した。登録決定文には注釈で、「世界遺産委員会は日本の発表を注目する」と明示し、演説と注釈を連係させる形で強制労働が行なわれた歴史を認めた。(以下略)


 要するに、委員会で承認された文書には本文・注釈ともに「朝鮮半島の人々の意に反して」云々は記載されておらず、注釈にちょこっと議事録を参照するよう示唆する文章が差し込まれたということのようです。登録文を「強制労働」から死守しようとした日本側の涙ぐましい努力が感じられます。

 ただし、聯合ニュースの記事にも誤報があります。それは、日本側の発言が行われたのは「登録決定直前」だったと報じている点。他のメディアはほとんどが登録決定直後の発言だったと報じています。

2015年7月6日 毎日新聞 東京朝刊
http://mainichi.jp/shimen/news/20150706ddm001040179000c.html

世界遺産:明治産業遺産、登録決定 日韓「徴用」の表現決着
(前略)
 佐藤地(くに)ユネスコ日本代表部大使は決定直後、「日本は、1940年代に幾つかの施設で、その意思に反して連れてこられ、厳しい環境の下で働かされた多くの朝鮮半島出身者などがいたこと、第二次世界大戦中に日本政府としても徴用政策を実施していたことを理解できる措置を講じる」と英語で発言。情報センターの設立を計画していることを明らかにした。これに対し、韓国側は「日本が全ての措置を履行することを期待する」と述べ、日本への支持を表明した。


2015年7月6日 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/culture/20150705-OYT1T50086.html

明治の産業革命、世界遺産に…日本は韓国に譲歩

(前略)
 合意に沿い、日本代表団は登録決定後、構成資産の一部について、「1940年代に、意思に反して連れて来られ、厳しい環境で労働を強いられた」朝鮮半島出身者が多く存在したことへの理解を深めるための措置を講じる方針を表明。「被害者を記憶にとどめるため」の情報センターの設置を検討するとも述べた。日本側が事実上、譲歩した形だ。

 一方、韓国代表団は「日本が誠意をもって実施すると信じる」と述べた。(後略)


2015年7月6日 中央日報日本語版
http://japanese.joins.com/article/710/202710.html

日本「韓国人の意に反して強制的に働かせた事実ある」

「(日本は)1940年代、一部の施設で多数の韓国人が『自分の意に反して(against their will)』動員され、過酷な環境のもとで『強制的に労働をした(forced to work)』事実があることを認識し…」。

5日午後(現地時間)、独ボンで第39回ユネスコ世界遺産委員会(WHC)世界文化遺産登録審査会議が開かれた。韓国と日本を含む21委員国が強制徴用施設を含む日本の近代産業施設を世界文化遺産に登録することに合意した後、日本側首席代表の和泉洋人首相補佐官が口を開いた。日本政府が日帝強占期間に韓国人の強制徴用があったと国際社会で認める瞬間だった。泉補佐官は「該当施設に情報センターなどを設置して犠牲者を追悼する」とも述べた。 (以下略)


 こうなると、朝鮮日報の「注釈に盛り込まれた」という表現が限りなく捏造もしくは誤読狙いであることがよく分かります。登録決定後の発言を、たとえ注釈であろうと登録文書に入れるなんてできるはずがありません。

イム・ミンヒョク「ふふふ、わたしは『盛り込まれた』と書いただけ。『入った』なんてどこにも書いてない」

 ……韓国の記者ならこれくらいのことは平気で言うでしょうね。

 物事を自分たちに都合よく解釈してホルホルするスキルは韓国の「能力」といってもいいでしょう。日本政府もある意味それを利用したわけで、これは河野談話とよく似た構図です。今回の問題は必ず火種となって残るでしょう。
 韓国はたぶん、今回の件を反日外交に利用する気満々です。そのことは安倍政権だってある程度覚悟の上でしょう。明治日本の産業革命遺産が世界遺産に登録されたことで、国民が戦前の日本に対して「誇り」を持てるようになれば、たとえ韓国が徴用者賠償などで攻勢を強めてきても、十分に跳ね返せると算段しているのではないでしょうか。

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タイトル詐欺で勝利宣言の聯合ニュース お約束の「後頭部を殴られた」に期待

 日本嫌いの尹炳世長官がなぜこんな時期にわざわざ初来日したのかといえば、やはり世界遺産登録をめぐって日本と直接交渉しなければならないという目的が大きかったのではないかと個人的には想像します。
 韓国はこれまでに世界中の委員国に直訴し、そのほとんどの国から「そういう問題は日本と直接話し合ってよ」と(たぶんウンザリ顔で)言われてきました。
 韓国はそれを言質とし、長官みずから総仕上げとして日本に乗り込み「どの委員国もみんな、日韓でよく話し合えって言ってるぜ? セネガルはウリに寝返ったし、もし投票になだれ込んだらお互い血を見ることになるかもな。ん?」と迫ったのでしょう。
 その結果を伝える韓国メディアの報道。

6月21日 聯合ニュース
世界遺産問題 強制労働事実の反映で事実上合意=韓日外相
http://japanese.yonhapnews.co.kr/relation/2015/06/21/0400000000AJP20150621002200882.HTML

 そうかあ、日本もついに譲歩したかあ。ちょっとムカつくけど、ま、看板に一文を入れるだけだし、しょうがないかな……。
 そう思いながら記事の本文を読んでみました。以下全文引用。

【東京聯合ニュース】韓国外交部の尹炳世(ユン・ビョンセ)長官は21日、東京で岸田文雄外相と会談後に記者会見し、朝鮮人が強制労働させられた施設が含まれる「明治日本の産業革命遺産」の世界文化遺産登録問題について、「協議を通じて円満に妥結するという共通認識を持ち、緊密に協議することにした」と述べた。

 また、「世界遺産委員会の責任ある委員国として、この問題について協力することにしたため、近いうちに両国代表が協議を行った際には詳細を公表できると思う」と説明した。

 韓国政府は5~6月に日本と行った2回の協議で、朝鮮人の強制労働の歴史を明記し、強制徴用があった施設に表示板などを設置し、歴史的な事実を明らかにすることを求めてきた。7月初めにある産業革命施設の世界遺産登録の可否が決まる国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会の会合までに、両国は韓国側の要求をめぐって最終合意を目指すことになる。

 先月、ユネスコの民間諮問機関、国際記念物遺跡会議(イコモス)は九州地域を中心とする8県・23施設の世界遺産登録を勧告した。23施設には長崎造船所、端島炭鉱(軍艦島)など、数万人の朝鮮人が強制的に徴用され働かされた7カ所が含まれている。

 尹氏は「約3時間にわたり、(岸田氏と)双方の関心事について友好的、虚心坦懐(たんかい)かつ建設的な議論をした」とした上で、旧日本軍の慰安婦問題に関しても「われわれの立場をはっきりと伝えた」と述べた。ただ、具体的な内容は明らかにしなかった。

 22日にソウルと東京でそれぞれ開催される国交正常化50周年記念行事に両国首脳が相互出席することになった経緯については、「(関係改善に向けた)両国指導者の強い意思を反映したということで(岸田氏と)認識が一致した」と語った。

 尹氏は岸田氏に対し年内の韓国訪問を要請し、岸田氏は受け入れたという。ただ、両国の現政権発足後に実現していない首脳会談をめぐる議論について具体的な言及は避けた。

 今回の尹氏の日本訪問は、韓国外交部長官として約4年ぶりの訪日だった。朴槿恵(パク・クネ)政権が発足してから両国の外相会談は6回開かれたが、多国間会議に併せて開催されたものではない会談は今回が初めて。尹氏は朴政権発足直後の2013年4月、日本を訪問する予定だったが、麻生太郎副首相兼財務相らの靖国神社参拝がありキャンセルとなった。

 尹氏は22日に安倍晋三首相を表敬訪問し、在日韓国大使館主催で開かれる国交正常化50周年記念行事に出席する。民主党の岡田克也代表とも会談する予定だ。


 …あれ? 「円満に妥結できるように緊密に協議する」ってだけで、日本側は譲歩するともなんとも言ってないじゃないですか。
 またタイトル詐欺かよ…あいかわらず朝日とおんなじ手口。
 あれだけ外交戦を繰り広げた後ですから、官民ともども日本側から「良い返事」を引き出したいと焦る気持ちはわかりますけど、勝手に捏造されても困りますねえ。

 いずれにせよ、韓国側がこういうムード作りを始めたってことは、世界遺産委員会で投票が行われる可能性はなくなったと理解してよさそうです。正直ほっとしました。
 本当に日本側がそこそこ柔軟な態度を示したのだとすれば、今後は実際の案内板やパンフレットで朝鮮人労働者についてどのように記述するかが焦点になります。
 たとえば長崎県の軍艦島では、「軍艦島を世界遺産にする会」なるNPOのサイトに、朝鮮人の「強制労働」について詳しく触れたページがすでにあります。
http://www.gunkanjima-wh.com/unadata/gaisetu9.htm

 でも、韓国のおかげで朝鮮人労働者についてこれだけ注目が集まってしまった以上、「強制という表現は正しいのか」「労働者の人数に根拠があるのか」「朝鮮人労働者の苦しみを強調するのなら、日本人労働者の苦労もきちんと紹介すべきではないか」といった議論は避けて通れないでしょう。
 わたしの暮らす長野県でも、昨今の嫌韓ムードから、松代大本営の案内板の「朝鮮人労働者が強制的に動員され」の部分が問題視され、「~と言われています」「さまざまな見解があります」などと曖昧な表現に書き換えられました。
http://www.sankei.com/life/news/141113/lif1411130033-n1.html

 今回の世界遺産登録でイチャモンをつけられた7カ所の地元住民は、韓国側の脅迫にヤキモキさせられてきた立場ですから、嫌韓感情が強くなっている可能性があります。看板やパンフレットを作る自治体も、そうした住民感情を配慮せざるを得ないでしょう。

 世界遺産登録後、現地を訪れた韓国人らが「いつになったら強制労働の説明板を建てるんだ」「説明はあるけど文言が気に食わない」なんてクレームをつける事態も起きることでしょう。そうなれば登録を許した朴政権の責任が問われますし、日韓双方の国民感情がさらに悪化することになります。

 こうやって考えてみると、やっぱり朴槿恵政権の反日外交はド下手だなあと感じます。当人たちは世界遺産問題をダシに世界中で被害者アピールできて満足かもしれませんが、委員各国にとっては正直迷惑だったでしょうし、「歴史の全貌を理解できるようにすればいいんだよね、うんわかったよ(笑」なんて日本側の言葉を韓国が都合よく解釈して安心していたら、また後で「後頭部を殴られた!」と火病することになりかねません。
 そんなことになるくらいなら、最初から「ウリナラも委員国なんで協力するけど、できたら朝鮮人労働者のことについても触れてくれるとうれしいな」と下手(したて)に出たほうが、よっぽど確実に目的を果たせていたはずです。
 でも、無理ですよね。韓国側は日本の産業革命遺産がイコモスの審査を通過するずっと前から登録阻止運動に没頭しちゃってましたから。まして、歴史問題について韓国が日本に「お願い」するなんてあり得ない。日本を叱りつけて要求を飲ませるのでなければ、被害者様としての道徳的優位性が保てない。

 たとえ慰安婦問題が佐々江案から毛が生えたような(もしくは毛が抜けたような)もので「解決」したとしても、韓国がこういうスタンスで日本と接する限り、どうせまた似たような問題が後から後から生えてくるのでしょうね。

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テーマ : 韓国について
ジャンル : 政治・経済

日本はチキンレースの戦い方を韓国から学べ

 世界遺産登録をめぐる韓国の攻勢が熾烈を極めつつあります。
 尹炳世外相は議長国ドイツや副議長国クロアチアを訪問して直訴。国会は「世界的な世論戦で日本を追い込め」と政府を叱咤。それに対して日本が委員国にどのような働きかけをしているのか……イマイチ見えてきません。報道されないだけなのか、あまり強硬に対抗すると逆効果になると踏んでいるのか。
 ちょっとショックだったのは、日本支持を表明していたセネガルが韓国側に寝返ったというテレビ朝日の報道。

6月10日テレビ朝日
http://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000052287.html

韓国攻勢で支持表明国が撤回 日本の世界遺産登録

 「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産登録を巡り、日本への支持を表明していた投票国の一つが韓国側の説得工作で支持を撤回していたことがANNの取材で明らかになりました。

 (大野公二記者報告)
 投票国の一つ「セネガル」は、ユネスコ世界遺産委員会のアフリカ代表で副議長国です。このセネガルですが、日本政府の内部文書によりますと、先月25日の段階で日本への支持を口頭で表明していました。しかし、先週、韓国の説得工作を受けて日本支持を撤回し、態度の留保に転じました。韓国とセネガルの首脳会談で、朴槿恵(パク・クネ)大統領から協力を求められたサル大統領は「投票までいかずに日韓の対話で一致点を見つけることが重要だ。もし、最終的に投票となれば、棄権するか今年の登録を見送り、日韓がもっと対話できる場を設ける役割を果たす」などと述べたということです。日本政府関係者は「今年の世界遺産登録が見送られれば、事実上、日本の敗北だ」と話しています。韓国側は今週、尹炳世(ユン・ビョンセ)外相を議長国のドイツに、そして、国会議員団をいまだ態度を明らかにしていないペルーやコロンビアなどに派遣し、説得工作をより強化していく方針です。


 「どうせアサヒだから捏造じゃないのか」と決めつけるのはナンセンスですよね。現時点では、根拠がある報道なのだろうと受け止めるしかありません。
 なるほど…アフリカ勢は奴隷貿易の歴史がありますから、「植民地」「強制労働」の被害を訴える韓国に対しては同情的になりやすいのかな。もしくは、アフリカに影響力を持つ中国が根回ししたとか…? となるとアルジェリアも危ういじゃないですか。
 3分の2以上の賛成票確保はちょろい、なんて言ってる場合じゃないのかなあ。

 過去にイコモス勧告が登録委員会で覆されたのはイスラエルの「ダンの三連アーチ門」で、何度も推薦されながら「ヨルダンとの国境問題が確定するまでは審議そのものを延期する」という決定が下されたのだとか。

世界遺産アカデミー(毎日新聞の息がかかったNPO)の研究員ブログにはこんなことが書いてありました。

近年のユネスコや世界遺産委員会は、ホームページ上に
「いかなる政治的な主張や立場を代弁するものではない」と表明しているように、
政治問題に関与すること、関与しそうなことに、極めて慎重であると思います。

世界遺産の審議が「世界遺産の価値と保護」に関するものではなく、
「政治問題の駆け引きの場」になってしまうことは、非常に残念なことです。
そして、それこそ世界遺産の理念からは離れてしまっています。

日本は、「時代が違う」という一方的な論理で韓国の主張を切り捨てるのではなく、
彼らの意見を傾聴しつつ、丁寧に遺産の価値と保護の重要性を訴える必要があります。
決して政治問題に話題をもっていかれないように。

やり方を間違えれば、世界遺産登録の先送りもないとはいえないのですから。

http://wha.or.jp/?whablog=13400

 「政治問題に話題をもっていかれるな」といわれてもねえ…。韓国は大統領、外交部、国会が総力を挙げて反対外交を繰り広げてますから、完全に政治問題になっちゃいましたね。

 焦点は、ユネスコに露骨に政治問題を持ち込んだ韓国のやり方を委員各国がどう受け止めるか、でしょう。彼らが「面倒に巻き込まれるのは嫌だから」と審議延期の判断を下したら、それはユネスコが政治の干渉を受け入れたという重大な前例となります。今後の他の登録審議も同様のトラブルに巻き込まれるリスクが高まりますし、ことによればすでに登録された遺産についても、それを快く思わない国から登録取り消しの要求が頻発するようになる可能性だってあるでしょう。

 韓国側は、「朝鮮人を働かせた7つの施設を登録候補から外せ」という初期の要求を後退させ、現在は「朝鮮人が強制労働させられた事実を明記せよ」と求めています。
 ていうか、彼らは「イコモスの『歴史の全貌を理解できるように』という勧告は朝鮮人の強制労働のことを明記しろという意味だ」と勝手に解釈しているのですから、日本側も委員会審査に臨む際「歴史の全貌を理解できるようにいたします」と応じればいいだけ。で、無事登録が実現したあかつきには、せいぜい現地の説明看板に「戦時中は朝鮮半島出身者も労働に従事した」と一文を挿入すればいいだけです。大したことじゃないんですよね。
 ただ、日本側がそれすらも拒否する姿勢を示したり、韓国側があくまで審査段階で「強制徴用」などといった文言の明記にこだわるようだと、面倒くさいことになります。

 問題がこじれて世界遺産登録が失敗に終わったらどうなるでしょうか。遺産に関係する8県を筆頭に、日本の国民感情は大きく害されるでしょう。世論の嫌韓に拍車がかかるのは必至、もしかしたら嫌韓から憎韓へシフトアップするかもしれません。韓流離れはさらに進み、経済交流はさらに低迷し、在日半島人や韓国人観光客への視線が厳しくなり、「竹島を返せ」「対馬の仏像を返せ」という要求が激しくなるでしょう。

 でも、その程度といえばその程度なんですよね。
 世界最貧国と呼ばれた数十年前と比べ、韓国の対日経済依存度は格段に低下しています。日本からの観光客の減少は中国人客が穴埋めしてくれていますし、韓流コンテンツだって他の国に売り込めばいいだけの話。ソ連が健在だったころと比べれば、東アジア情勢もずいぶんと穏やかになりました。中国はもはや共産国とはいえませんし、中国の対外的野心はいま朝鮮半島よりも南シナ海や東シナ海に向いています。むしろ、日本と中国の対立が激しくなりつつあるいま、反日で共闘している韓国は中国に愛されていると韓国人は信じています。
 さらに都合の良いことに、中朝関係がいままでになく冷え込んでおり、北朝鮮は国際社会から経済制裁を受けて干上がっている状態。国体を維持するのが精一杯で、中国の援助なしに第二次朝鮮戦争をふっかける余力など皆無でしょう。北は核を持っているとはいえ、そのターゲットは米国およびその飼い犬である日本が想定されており、国境から目と鼻の距離にあるソウルが北の核に狙われる危険はむしろ少ないといえます。

 ――こうやって考えてみると、韓国には反日を自制しなければならない必然性がありません。むしろ韓国政府は、日本を仮想敵として扱い、中国や北朝鮮と連帯感を強めたほうが安全保障上もメリットがあると踏んでいる節があります。そしてなにより、「平和国家」日本はお人好しだからいくら侮辱しても反撃してこない。経済制裁というカードがないわけではないが、輸出入制限は両刃の剣だからそう簡単には切ってこないだろう――わたしだって、韓国の立場になればそう考えます。日本は完全に見くびられています。

 日本国内の嫌韓派の中には、今回の世界遺産登録が成功してもしなくても日本に「負け」はないと断言する人がけっこう多く見受けられます。嫌韓世論の拡大を目指す人々にとって、登録が阻止されて嫌韓日本人が増えれば確かにめでたいことでしょう。

 でも、外交戦としては、登録失敗は日本の「負け」以外のなにものでもありません。韓国は勝利に味をしめてあらゆる面でますます強気に出るようになるでしょうし、そうなれば韓国のプロパガンダに騙される国がますます増えかねません。そういう面倒くさいことへの対策に国家リソースを割かれること自体、日本にとっては大きな損害です。また日本国内では、他の遺産候補を差し置いて明治の近代化遺産の登録実現に力を注いだ安倍政権の責任問題も取りざたされる可能性があります。少なくとも、民主や共産は最大限にそこんとこを突いてくるでしょう。

 つくづく思うのですが、韓国の最大の強みは「恥を知らない」ことです。彼らのやっていることは北朝鮮の瀬戸際外交とほとんど変わりありません。日本人の価値観では愚かで見苦しい行為にしか見えませんが、韓国人は自分たちの道徳的優位を疑わないので、道徳的劣位にある日本の視線など気にもかけません。

 万一、今回の世界遺産登録が却下されたら、われわれ日本人はどのように韓国に報復すればいいでしょうか。
 ……結局のところ、なるべく多くの日本人が誠心誠意をこめて韓国を"嫌う"こと、それしかないような気がします。人権侵害を疑われるような示威や嫌がらせではなく、ひたすら地味に、そして粘り強く嫌うこと。

 一番重要なのは、韓国側の要求に応じないこと。スポーツ応援の場では積極的に旭日旗を振り、もしクレームがついたらきちんと反論すること。竹島の返還と、対馬仏像の返還と、加藤前局長の起訴取り下げと、日本大使館前の慰安婦像の撤去と、挺対協による水曜デモの禁止を要求すること。慰安婦問題は「法的には日韓請求権協定で、道義的にはアジア女性基金で解決済み」と繰り返すこと。教えない、助けない、関わらないの「非韓三原則」を徹底すること。

 それを続ければ、韓国は反日外交で成功体験を得ることができなくなり、自分たちの非力を思い知らされメンツを失うことになるでしょう。その結果、韓国が反日を取り下げるならそれでよし、もし反日をさらにエスカレートする場合でも、韓国政府がリソースをそれにつぎ込めば国内の政治がおろそか&不安定になり、結果的には国益=韓国民の幸福を損ねることになります。…っていうかすでにある程度現実化してはいるんですよね。政府も国民も自覚してないでしょうけど。

 韓国の反日プロパガンダを無力化するスキルを日本が習得すれば、それは対中戦略にも応用できます。また、日本国内で嫌韓世論がMaxになれば、韓国をダシにして政権批判を繰り返してきた左派勢力は弱体化し、安倍首相の念願である「戦後レジームからの脱却」実現にも近づくことでしょう。それだけのことをキチンと実現させる気概があって初めて「登録されようがされまいが日本に負けはない」と言えるようになるのです。

 外交って、ある意味チキンレースなところがありますよね。北朝鮮も韓国も李氏朝鮮も、国際ルールという名の道交法を無視した捨て身のドライブを繰り返してきた連中です。一方の日本は、ピカピカの車体に傷がつくのを恐れるあまり、繰り返し体当たりを挑んでくる韓国にあっさり道を譲ってきました。
 でもねえ。いまの時代、「少々の傷はどうってことない、いざとなったら直せばいいだけ」くらいの開き直りは必要なんじゃないですかね。
 わざと突っ込んできたのは向こうだし、車はこっちのほうが大きくて頑丈。相手めがけてわざわざ加速する必要はないけれど、悔しい思いや悲しい思いをしてまで道を譲る必要はないじゃないですか。この道が正しいという信念があるのなら、韓国に胸を借りるつもりで真正面からぶつかってみるのも悪くないと思うんですよね。もちろん道交法の範囲内で。
 譲らない日本vs懲りない韓国。消耗戦になるかもしれませんが、体力なら日本のほうがあるはずです。

 もちろん、こういう考え方は場合によっては「大国の奢り」と批判されるかもしれません。中国なんか、日本に対して同じことを思っているでしょう。「オレたちに刃向かっても痛い目を見るのは日本なのに、安倍は愚かだ」。
 だから安倍政権は集団的自衛権をてこに、価値を共有する周辺国と連携することで中国に対抗しようとしているわけです。手法としては、ユネスコの委員国を抱き込む韓国の反日外交とほぼ同じ。
 ただし、安倍政権は安全保障という必然的な目的・ビジョンのために動いているのに対し、韓国は被害国の皮をかぶった民族主義に突き動かされているだけです。
 未来に向かって一歩一歩着実に前進する日本と、過去に縛られ情動に踊らされる韓国。その差がいずれ大きくなれば、本当の「勝敗」が見えてくるでしょう。

テーマ : 韓国について
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