朝鮮日報の希少な理性派記者にかみつく韓国人たち

 前回取り上げた金大中氏とはまったく正反対のごくマトモなコラムが、同じ朝鮮日報に登場しましたね。
 書いたのはソンウ・ジョン国際部長。東京特派員時代に日本に感化されたそうで、韓国の大手紙の有力記者としては数少ない理性の持ち主として楽韓Webさんからも一目置かれている人です。

 いずれあちらでも記事になるでしょうが、それはそれとして全文掲載しておきます。

6月26日 朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/06/26/2015062600431.html

【コラム】韓国の道徳性は本当に日本より優れているのか

「三島由紀夫作品盗作」指摘に韓国大手出版社「申京淑の描写の方が上」
どんな盗作も本物は超えられない


 韓国の著名な女性小説家・申京淑(シン・ギョンスク)氏(52)の盗作問題を、韓国文学界のごく一部の問題として受け流すには時期が良くなかった。韓国は今、歴史問題で日本と激しく対立している状況だからだ。韓日国交正常化50周年にもかかわらず、韓国が批判をやめないのは、韓国の方が日本よりも道徳的に絶対優位だと信じる気持ちがベースにあるためだ。しかし、韓国の看板作家が日本を代表する作家の作品を盗作したという騒動は、そう信じる気持ちを揺るがす。しかも、「申京淑氏の描写の方が(日本の作家の作品より)比較的優位にあると評価する」という大手出版社「創批」の反論は、韓国が主張する道徳的優越性がどれだけお粗末な基盤の上にあるのかをありのままに示している。

 「まねるにしてもなぜ、よりによってあの作家のあの作品なのか」ということから考えなければならない。「天皇万歳」と叫んで切腹した右翼作家・三島由紀夫の猟奇的な性向を語ろうというのではない。三島は日本の現代文学において「日本の美学」を最も見事に表現した小説家だと評されている。日本語の観念性を守るため、自然の音をそのまま表現する擬音語さえ「言語の堕落」だとして排撃した日本文化の純血主義者だ。申京淑氏が書き写した小説『憂国』は彼の美学的な執着と屈折した右翼思想が一語一句に凝縮された作品だ。今ではソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上の冗談で使われるありさまとなってしまった「喜びを知る体」という表現だが、こうした背景や歴史を踏まえ、どのような重層的な意味を持つかを考えたとしたら、申京淑氏はあえて三島の文章を性愛表現のツールとして盗用できなかっただろう。

 事実、韓国文化界による日本の作品からの盗作・模倣は昨日今日の話ではない。歴史学者イ・グァンリン氏は、1895年に出版された朝鮮時代末期の政治家・兪吉濬(ユ・ギルジュン)の著書『西遊見聞』について、主要部分に該当する2章分の文章の半分が福沢諭吉の『西洋事情』を書き写したものだと指摘した。韓国初の近代化書籍は盗作だったのだ。もちろん、知的所有権の概念が希薄で、近代文明の吸収が切実に求められていた時代背景を考えると、事情は十分に理解できる。福沢が自身の出版社を通じて『西遊見聞』を出版・配布したことも考慮すれば、兪吉濬が書き写すのを理解・承諾していたものと思われる。

 近代以降、韓国にとって日本は西欧文明を吸収するのに便利な経路だった。チェ・ギョンオク教授が書いた『翻訳と日本の近代』によると、英語の「society」という単語が日本に紹介されたのは1796年だった。この単語が日本で「社会(しゃかい)」と翻訳され使われるようになったのは1870年代だ。「society」に込められた近代的な意味を日本は70年間にわたり考え続け、最も近い単語を定着させたのだ。この言葉はその20年後、特に検討されることもなく韓国で「社会(サフェ)」として使われるようになった。もし日本が漢字を使っていなかったら、韓国も70年間、同じことで悩んだかもしれない。憲法第1条に出てくる「共和」「主権」「国民」「権力」も日本で作られた訳語をそのまま受け入れたものだ。いや、そもそも「憲法」がそうした単語だ。

 これは幸いなのか、それとも不幸なのか。近代西欧文明の概念を大して苦労することなく理解できたのは幸運だ。だが、近代的な単語が似てしまい、日本をまねするのにだんだんと慣れていったのは不幸だった。1980年代まで韓国のタレントたちはアイデアが尽きると釜山に行き、電波を受信できる日本の番組を見てまねた。そのようにして日本のアニメ『マジンガーZ』は韓国アニメ『テコンV』に、日本のドラマ『おしん』は韓国戦争(朝鮮戦争)後の貧しさを描いたドラマ『カンナニ』に、日本全国をめぐる視聴者参加番組『NHKのど自慢』はKBS放送の『全国歌自慢』になった。各大手企業グループの会長たちが日本に長期滞在した後、「日本構想」という名で新事業を展開し、学界を代表する権威ある学者たちでさえ、日本の書籍を自身の著作物だとして盗作した。もちろん、みんなそうだったというわけではない。だが、一部のごく少数の話でもない。少なくとも1980年代まで「日本」というキーワードなくして韓国経済史・韓国文化史を語るのは困難だ。今の40-50代たちにとって、子どものころの思い出は、かなりの部分で日本の子ども文化の思い出をそっくりコピーしたようなものだ。

 韓国人は「日本を超えた」と言っている。1990年代から韓流ドラマ・携帯電話・半導体・自動車などで日本をしのぐ成果を挙げてきたのは事実だ。しかし、他人が真剣に悩んで生み出した結果物を恥じることなくまねる習慣、問題が発生したら外国のシステムから拝借する習慣は大して変わらない。「まじめな努力と蓄積」という一流の条件がまだ不十分なのだ。「日本に比べ優位」と自慢している分野のほとんどが今、中国に追い付かれ、追い越されているのもこのためではないだろうか。渦中の出版社「創批」による「日本に比べ優位」という反論を聞くと、韓日国交正常化50周年を迎えた韓国の現実と内実を素直に省みずにはいられない。

国際部=鮮于鉦(ソンウ・ジョン)部長


 韓国が日本から何かを剽窃するのはいつものことなので、今回の盗作事件そのものは作者や出版社の見苦しい対応も含め「韓国らしいね」以外に特別言うこともないのですが、こういうスキャンダルから自分たちの「道徳的優位性」に疑念を持つ人がソンウ・ジョンくらいしかいないらしいのが韓国大手メディアの救いがたいところです。
 よそさまの「韓国人の反応」系まとめサイトで翻訳されている韓国人の書き込みを見ても、作家本人や韓国文壇を批判し腐敗の根深さを嘆く声は多いものの、どこか他人事のような発言ばかり。「こんなに民度の低い我々に日本を批判する資格があるのか」「国を代表する文豪すら嘘をつくなら、慰安婦ハルモニの証言だって鵜呑みにすべきでないのではないか」といった意見はほとんど見当たりません。
たとえば ホル韓ニュース改 みずきの女子知韓宣言

 ちなみに、ソンウ・ジョン氏のこのコラムのタイトルは、コリア語版の記事では
「いくら書き写しが上手でも優位にはなれない」
となっており、日本語版とは少しニュアンスが違います。

 コリア語版記事についている読者コメントを読むと、おおむねコラムに賛同し、自国の不甲斐なさに憤る声が多いですが、素直になれず反発している人たちも見受けられました。
 以下、21件のコメント中、素直になれない人たちのものだけを抜き出してみました。
 機械翻訳を元にあてずっぽうで読みやすくしているので、間違いがあったらすみません。

(強調および【】内は引用者)

キム・スファン
私たちに外貨や技術など多くの援助をくれたドイツなども、日本と同様に私たちを借り物だらけの連中といって見下すだろうか? 日本の浅はかさには目をつぶり、日本がわが国にどれくらい多くのものを恵んでくれたかということばかりを何度も掘り起こして、私たちの先祖がどれくらい醜かったかをいつまでも繰り返すのは一種の洗脳のようなものだ。 こうした逸材【←日帝?】残滓で植民史観を習った人々は、【正しい】歴史を習った人々に早く総入れ替えしなければならないだろう。
(賛成2、反対3)

キム・スファン
 倭警化【←?】も分かるが、西欧によって強制的に開国させられた日本と比べ、我が国の近代化が多少遅れたことは確かだが、朝鮮時代より前は、百済の時代から私たちが日本島に文物を伝達した事実を、史学科出身のソンウ記者は度々省略する傾向にある。 私たちが優位にあることよりも、私たちが日本より劣っているわけでもないという点が重要ではないだろうか? 【←情けねー】 朝鮮の歴代の王たちをあざ笑ったりするソンウ記者の記事は倭警化が本当に心配だ。
(賛成12、反対6)

ジョウンサン
 日本は集団主義に埋没した社会であって、すなわち日本人は主体的に倫理や道徳に対して構成したり組織する能力を備えることはできなくて、日本で主な道徳観念はアメリカなど先進国からマスメディアによって輸入されたものだ。だから日本文学で人間の本源的なことを探求するのは限界がある。
(賛成1、反対3)

バクサンマン
 古代日本に伝わった文化と文明は、韓半島を通じてもたらされたものだった。 日本はどうせ韓国と落ちることはできない文化圏だ【←日本の文化は韓国なしでは存在できないという意味か?】。 オランダなど西欧文明と文化を先に受け入れ消化した日本が、それを東アジアに伝えたのは自然な成り行きだし、元はといえば世界文化の交流のおかげだ。 生存のために西欧人が日本に来たものだ。 これらが使う用語も輸入品でペルシャが源流だった。
(賛成1、反対0)

イゴンボク
 文化や知識が、水のように高い所から低い所へ流れるとは当然のことだ。文化がまだ未熟な時代にわたしたちが日本をたくさん模倣したのは自然な現象だ。日本も欧米を模倣した。私たちはまだ日本と比べれば不足が多い分野はあるが、同等だったり優位にある分野もかなりある。これと戦争で人類全体に途方もない犯罪を犯した日本に対して私たちが持つ道徳的優越性の基盤が揺らぐという見解は筋違いだ。
(賛成4、反対6)

イゴンボク
 シン・ギョンスク氏は表現をそのまま流用したわけではない。作家自身が明らかに丸ごと表現を借りて使ったと認めたわけでもない。作家の話を信じることはできないか。日本作家だからより一層盗作に追い込んで断罪したい欲望が作用するのではないだろうか。シン氏がそんなに結んでもかまわなくなければならないのか【←意味不明】。


 日本から韓国に近代文化が伝わったのは「元は西洋のものだし時代背景からすれば当然のこと」といいながら、朝鮮半島から古代日本に渡った文化は「ウリナラのおかげ」。こういう頭の悪いダブルスタンダードが平気で通用するようなお国柄だから、われわれネトウヨにバカにされるんですよねえ。

 作家の盗作と日本の歴史犯罪とは別次元の問題だという声もありますが、とくに慰安婦問題についてはハルモニたちの証言が韓国側の唯一の武器なのですから、韓国人全体の信用度が落ちれば、必然的に慰安婦問題でも不利になります。こればかりは日本側の心証の問題ですから、韓国側が怒ろうが否定しようがどうしようもありません。

 作家の盗作、軍部の腐敗、低レベルな防疫体制…今も昔もダメダメなお国柄のくせに、どうして日本に無謀な道徳戦争ばかり仕掛けてくるんでしょうか? 「自分がこんなことをしたら・言ったら、相手はどう思うだろう」という、客観的な思考力のなさがなせる業なんでしょうね。お気の毒に。

 それと、上記のコラムで触れられている出版社の言い草はわたしもハンギョレで読んだ時ムカつきました。追記で全文引用しておきます。

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ジャンル : 政治・経済

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