非人道的だったのは「制度」じゃなくて「慣習」ですよね?
Q0-1(元ページ/それに対するわたしのツッコミ)で私が抱いたこの疑問について、FIGHT FOR JUSTICEが答えようとしているのがQ&Aの0-2以降の項目ですね。
先の記事でわたしが「こうした疑問に、サヨクさんたちはちっとも答えてくれません」と書いたのは、はたして早計だったのでしょうか。
わたしのようなにわかネトウヨが納得できるような回答が用意されているのかどうか、読んでみましょう。
0-2 「慰安婦」は「公娼」だったか?
http://fightforjustice.info/?page_id=2431
ここでは、「慰安婦は将校よりも高収入を得ていた公娼だった」というウヨク側の主張に対し、「『慰安婦』=『公娼』ではありません」と強く否定しています。
その根拠を要約すると以下のとおり。
・従軍慰安婦となった女性たちの多くは業者によって暴力や詐欺・人身売買などの方法で徴集されたから。
・彼女らは軍の許可なく慰安婦を辞めたり自由に行動することが許されなかったから。
へーえ、そうなんだ。
ところで、そもそも公娼の定義は何でしょうか?
同じページにはこう書かれています。
公娼制度というのは、特定の業者と女性たちが売春業を営むことを公認し、警察に登録させる制度のことです。戦前の日本はこの公娼制度を採用していました。
つまり、業者と売春婦が警察に登録されているかどうかが公娼とそれ以外(私娼)の違いだったってことですよね。…娼婦になった経緯や慰安所での待遇はまったく関係ありません。
ちょっと、ついさっき慰安婦が公娼ではないの理由として挙げてた2項目は何だったんですか。もう、サヨクさんったらしっかりしてくださいよ!
では、日本はなぜ娼婦の登録を義務付けたのでしょうか。このページにはこう書かれています。
戦前日本の公娼制度は、近世以来遊廓や宿場だった地域をはじめとし、特定の地域における特定の業者と女性に売春営業を公認するというものでした。性病蔓延防止という目的で女性たちには性病検査が義務付けられており、この性病防止と強かん防止というのが公娼制度を正当化する論理でした。
無秩序な売春営業を排除し、娼婦たちに性病検査を義務付けることで、社会の治安や衛生を維持しようとしたわけです。目的意識は従軍慰安婦制度とまったく同じですね。要するに戦地でも内地の公娼制度に準じたやり方が取られていたってことでしょう。所管が軍か警察かの違いだけで。
「慰安婦=公娼」という構図は、「慰安婦制度には軍が密接に関わった!」と強調したいサヨクの皆さんにとってはむしろ好都合なんじゃないですか? 否定する必要なんてどこにもないと思うんですが。
以上からわかるように、公娼制度も「性奴隷」制度と言っても過言ではない非人道的な制度でした。
いや、だから、非人道的だったのは公娼制度ではなく、「身売り」された女性を「前借金」で縛って働かせる業者のやり口、つまり社会慣習の方でしょうに。性病などを防ぐために業者や従業員を登録する制度がどうして非人道的なんですか?
法制度と慣習を意図的に混同し、まるで日本が公に「性奴隷」制度を敷いていたかのようにでっち上げるその論法、いいかげんやめてもらえませんかね?
「性奴隷」という言葉は、日本をおとしめたい立場の人たちが使い始めたものです。だとすれば、言葉の定義も彼らが好きなように行うでしょう。反論する側(ウヨク側)が「それは性奴隷じゃない」とか訴えても虚しさだけが募ります。
ただし、一般人は「奴隷」と聞けば白人によって狩り立てられ手枷首枷をはめられ売買されて酷使された黒人奴隷を真っ先に連想します。彼らは完全にモノであり、財産権なんかありませんでした。給料どころか借金する権利すらなかったはずですよね。
一方の日本軍「性奴隷」のみなさんは、契約上は年季が明ければ自由になることが約束され、多寡はともかくお金を稼ぎ貯金することもできた人たちです。なんやかんや理屈をつけて彼女たちを縛り続ける悪徳業者もいたかもしれませんし、戦況の悪化のせいで自由に帰れなくなった人も多かったでしょうが、実際にお金を稼いで帰国できた人たちもいたわけで、要するにケースバイケースということでしょう。
それを一律に「奴隷」呼ばわりするのは、現代日本人からすると「ちょっとなー」という印象が否めないんですよね。「性奴隷」という表現には、問題をことさらに大きく見せようという悪意が感じられて仕方ありません。
そういう不信感が日韓の溝を押し広げ、問題解決をより難しくしてきた現実を、反日派のみなさんはどのように受け止めるのでしょうか。
女性に無理やり借金を負わせ、それで縛って働かせるなんて、典型的なヤクザな手口でけしからんことです。当時の日本はそういうことを防ぐ法体系が未整備だったのは確かかもしれません。
前近代的な慣習が残っていた当時、身売りされた女性たちが苦界に身を沈める実態は、日本だけでなくアジア各地(ていうか世界各地)にあったことでしょう。当時は朝鮮人だってそれをフツーのことだと認識していました。だからこそ親たちは平気で娘を業者に売り渡したわけで。
それを日本の国家責任問題まで持っていきたければ、前近代的な慣習の早期解消を怠った責任を包括的に追及するしかないでしょう。そんな訴訟が勝てるかどうか? 勝てるわけがないから慰安婦問題が迷走するんですよね。そりゃそうだ。
ページは以下のように結んでいます。
私たちは「「慰安婦」=「公娼」だから性奴隷ではない」と言っている人々の無知と人権意識の低さを問題にしてゆかなければなりません。
「公娼だから性奴隷ではない」という主張は確かにピントがずれていますね。繰り返しになりますが、公娼というのは登録の有無、奴隷というのは人身売買と待遇の問題。まったく別次元の話です。
議論すべきなのは、軍や警察が娼館や娼婦を管理したことの是非でしょう。治安や衛生の維持に役だった面に着目すれば人道的といえるでしょうし、売春制度を絶対悪とみなしその維持継続につながった面を重視すれば非人道的ということになるだろうし。
でもそんな議論を始めると、ネトウヨのわたしなんかは「じゃあ慰安所なんか作らずに現地女性をレイプすれば良かったんですか?」って言いたくなるんですよね。
結論=「慰安婦問題は議論すればするほど虚しくなる」。
さっさと妥協して楽になりたがった日本のハト派政治家たちの気持ちも分からんではないですなw
テーマ : 従軍慰安婦性奴隷制問題
ジャンル : 政治・経済