SSG187声明は秦郁彦センセへの腹いせだ

SSG187声明について、署名者の一人である小山エミというシアトル在住のフェニミストさんがその内幕的なものを紹介していました。

2015年05月11日 ハフィントン・ポスト
世界の日本研究者ら187名による「日本の歴史家を支持する声明」の背景と狙い
http://www.huffingtonpost.jp/emi-koyama/historical-revisionism_b_7253936.html

それによると、この声明は
①米国のマグロウヒル教科書をめぐる問題に端を発し、2月に日本政府に対する抗議声明(19人連名=当時)を主導したダデン教授らが、その拡大版として企画した。
②権威ある学者をより多く巻き込むために、できるかぎり政治色をうすめ、安倍政権を直接批判する文言を排除した。

 ということのようです。まあそのへんは声明本文やメディア報道などでも分かっていたことですが。

 マグロウヒル教科書をめぐる問題は、以下あたりを読むとわかるのかな。

2014年11月2日 藤岡信勝フェースブック
https://ja-jp.faceook.com/nobukatsu.fujioka/posts/730173300401780

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 ネット情報を総合すれば(というか検索して上位にヒットする情報の出所はだいたい古森義久氏ですがw)、ダデン教授は「政治が学問に口出しするな!」と叫ぶくせに、彼女自身は歴史学者というより政治家じゃないかってほど"活動的"な人のようです。
 声明の首謀…もとい主導者たちが、本当はもっと政治色を強めたいと考えていたことが、小山氏の文章からもよく伝わってきます。

 でもねえ。「他国の教科書に口出しするな!」っていうんなら、日本の教科書に口出ししまくってる韓国は一体どうなっちゃうんですか。
 日本の場合は外務省がこっそり修正要請をしただけですが(外務省のHPにも教科書会社への要望書らしきものは掲載されてません)、韓国は外交部どころか大統領府も国会も騒ぎまくりなんですけど。
 日本では吉見義明氏の著作なんかどこの書店や図書館にも並んでますが、韓国は朴裕河氏の『帝国の慰安婦』すら発禁処分。どうしてSSG187は韓国には声明を出さないんでしょうか。

 その理由はたぶん、今回の声明が安倍首相だけでなく特定の別の日本人をもターゲットに想定していたからじゃないでしょうか。
 そう、サヨクやカンコクにとっては目の上のたんこぶ的存在である秦郁彦御大です。
 吉見義明氏が慰安婦研究の左派の雄――左大臣ならば、秦郁彦氏はまさに"右"大臣。

 ダデンさんら19人が日本政府の教科書介入を批判したのに対抗し、秦センセイらは今年3月、同じ歴史学者としての立場から米国教科書の「誤り」を指摘し出版社に訂正を申し入れました。名を連ねた人の数はダデン派の向こうを張ってきっかり19人。

2015年03月17日 BLOGOS編集部
【詳報】「強制連行があったとするマグロウヒル社の記述は誤り」従軍慰安婦問題で、秦郁彦氏、大沼保昭氏が会見
http://blogos.com/article/108036/

 この流れを見れば、SSG187が批判している「歴史学的目的を見失った多くの研究者」というのが、秦センセたち19人のことを指しているのは明らかです。
 日本政府の抗議なら「学問の自由を侵すな!」とキレてみせればしのげますが、同じ歴史研究者、しかもその道の専門家から指摘されると分が悪い。だからダデンさんたちは、著名学者らの権威と187人という数に頼んで「こまけえこたあいいんだよ、さっさと安倍は土下座しろよ!」と圧力をかけてきた――んだと想像します。
 ついでにいうと、ダデン派は先の米教科書声明についてもブルース・カミングス教授を賛同者に引き入れて20人に増員しています。

05月12日 ハンギョレ
[インタビュー]カミングス教授「米国は70年間、韓国より日本を好んだ」
http://japan.hani.co.kr/arti/international/20634.html

 もちろんカミングス氏もSSGの一員です。
 お互い歴史学者なんだから資料に基いて冷静に討論すればいいのに、なんだかただの勢力争いですね。はからずも慰安婦問題の「本質」に近づいてきたともいえますがw

 SSGの主張は「強制連行があったかどうか、被害者の数が何人だったかなんてどうでもいい。旧日本軍が組織的に売春制度を作り、その下で女性たちの尊厳が傷つけられたことが問題である。安倍首相はそのことを認め、謝罪せよ」ということです。

 でも、SSGが指摘したこの内容について、日本政府は河野談話でほぼ全面的に認めており、安倍首相も(しぶしぶながら)「河野談話や村山談話を継承する」と明言してるんですよね。
 米議会演説では、たんに韓国の期待する単語(謝罪、侵略、植民地)を使わなかっただけで、「痛切な反省」を表明し「アジア諸国民に苦しみを与えた事実」を認め「歴代総理と全く変わるものではありません」と述べました。
 小山氏はこの演説を「歴史修正主義」と決めつけていますが、じゃあこの演説が河野談話や村山談話を否定するものだといえるんですか? 安倍演説に拍手を送った連邦上下両院議員とオバマ大統領も歴史修正主義者の一味だってことですか?

 日本側は河野談話をふまえ、道義的な立場から「お詫び」の意を示すためにアジア女性基金事業を実施し、韓国以外の慰安婦の多くはそれを受け入れ、韓国でも61人が受け入れました。
 慰安婦問題がいまだに「清算」できていないのは、つまるところ、挺対協など韓国側の民間団体とその影響下にある元慰安婦たちが、支払われるカネの法的根拠にこだわったこと、それが最大の原因です。

 基金は建前上、民間という立場をとっていましたが、日本政府は韓国人元慰安婦に対し、一人あたり300万円相当を「医療福祉支援事業」として支出しました。日本国民の寄付でまかなったというタテマエの「償い金」も、寄付者の実態は公務員や労働団体がほとんどだったとか(参考)。
 さらに「お詫びの手紙」には、歴代総理大臣が肩書付きで署名していました。靖国神社の参拝者名簿に「内閣総理大臣」と記帳しただけでメディアは「公式参拝だ!」と騒ぎますよね。だったら基金の手紙は実質的な公式謝罪以外のナニモノでもありません。アジア女性基金が民間の皮をかぶった国家事業だったことは当時、公然の常識でした。

 韓国はそれを十分承知していながら、「日帝による強制連行を認めないまま法的責任をごまかそうとする策謀だ」と決めつけて和解を拒みました。何度も言いますが、民間団体は「汚い金を受け取るな」と元慰安婦当人たちに圧力をかけてまで、日韓の和解を阻止したのです。
 その「汚い金」をハルモニたちに押し付けようとしていた悪党どもが、いまでは韓国メディアから「日本の良心」ともてはやされている村山富市元総理(基金理事長)や和田春樹名誉教授(専務理事)だったのです(詳しくは→当ブログ過去記事)。

 なんですかこりゃ。

 187人のみなさんはこうした経緯をすべて承知の上で、今の日本政府に問題解決のすべての努力を負わせようというんでしょうか。
 フザケンナ。

 もし安倍首相がいま、河野洋平と同じ言葉を語りアジア女性基金と同じ事業を申し出れば、韓国は涙を流して喜ぶでしょう。
 喜びに打ち震えながら「まさか。これは何かのワナに違いない!」と疑心暗鬼に身悶えするかもしれません。

 それで慰安婦問題は解決するんでしょうか。
 もし解決するのだとすれば、いままで問題が解決しなかった原因は韓国にあったことが証明されることになります。
 もし解決しないのだとしたら、もはや日本ができることは何もありません。

 結局のところ、日本は謝罪も賠償も「する必要がない」「する意味がない」かのどちらかしかないということです。
 この理屈、間違ってますかね?

 冒頭で紹介した文章の中で、SSG187の一員である小山氏は、メンバーたちの「複雑な心境」を語っています。

署名の取りまとめを見た上でのわたしの印象だが、たとえば、多くの学者は自らの行動が政治的であると見られるのを嫌うので、直接安倍首相を批判する文言は含まないなど、政治色は可能な限り薄められた。本題でもないのに韓国や中国でも歴史がナショナリズムの資源として動員されていることや、米国も負の歴史に向き合うことに苦悩していることに触れられているのは、反日だとか日本叩きだと思われたくないためだろう。

また、研究者の中でも超大物と呼ばれる人たちは、日本の学界のみならず政官財の実力者とそれぞれ人脈的な繋がりがあり、反日的だと思われると今後の研究に差し障りが生じる恐れもある。そういった事情のなか、学問的に真摯でありつつ、なおかつ政治の暴走を牽制しようとする、ギリギリのラインを狙ったのがこの声明だ。有名人は有名人なりに、かなりのリスクを背負ってこの声明に賛同している。


 うーん、確かに大きなリスクですよね。でも、それを承知でダデンの片棒を担いじゃったんですから、しょうがないですよね。
 いくら文章表現に腐心しても、その政治性は明らかです。韓国側がこの声明を好き勝手に政治利用するだろうことは、公表前から分かりきっていたはずです。
 187人は明確に日韓の外交問題に介入しました。それも日本側に一方的な譲歩を求める形で、です。
結果、わたしは187メンバーにあまり良くない印象を持ちましたし、今後彼らの著作や言論に対しては相応の先入観で接することになるでしょう。わたしは一介の素人ネトウヨにすぎませんが、政界、財界、学界、さまざまな分野の有力者の中からも、そういう立場の人が増えてくることでしょう。増えてほしいな。

SSG187声明文はものすごく曖昧な表現に終始していますが、だからこそ、署名した人たちは日本側からの問い合わせに答える義務を負うことになりました。

「あなたがたのおっしゃる"大胆な行動"って、具体的にはどんなことですの?」
「何がどうなれば"偏見なき清算"が実現したことになるとお考えかしら?」
「この問題の国際的解決を阻んでいる約2カ国の"民族主義"に対してはどうなさるおつもり?」
(以上、櫻井よしこ風に)

 こんな内容で、187人全員に公開質問状を出したらどうですかね。で、全員の回答を並べて公表すれば、かなり面白くなると思うなあ。
 もちろん、日本政府が直接動くのではなく、研究者や評論家が中心になる必要がありますけど。
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テーマ : 従軍慰安婦性奴隷制問題
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事実誤認

こんにちは、小山です。
「小山氏はこの演説を『歴史修正主義』と決めつけていますが」と書かれていますが、そのように決めつけたことはありません。
事実誤認ですので、訂正してください。

Re: 事実誤認

こんにちは、管理人です。わざわざお越しいただきありがとうございます。

>安倍首相の米国議会演説では、「慰安婦」問題を取り上げ被害者への謝罪と歴史修正主義との決別を表明すべきだという一部の議員や識者などの声もむなしく、期待された発言はなかった。それを受けて、欧米で活動する多数の日本研究者が発表したのが、今回の声明だ。直接安倍首相を非難する言葉が入っていないから日本批判・安倍批判ではないと言う人もいるかもしれないが、文脈やタイミングから、明らかに安倍首相と日本政府の姿勢を批判するものだ。

>そもそも、なぜ「日本の歴史家を支持する声明」というタイトルが付けられているのか考えてみれば、署名した研究者たちが日本における歴史研究が政治的な攻撃に晒されていることを危惧し、日本政府や歴史修正主義者たちによるまっとうな歴史学への攻撃に対抗しようとしていることが分かるはずだ。

この部分からは、署名者のお一人である小山さんご自身が安倍演説を歴史修正主義とみなしていると受け取るのが自然だと思いますが、いかがでしょうか。
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