褒め殺しで反日勢力を揺さぶる安倍外交

 今回の安倍談話の特徴の一つは、先の記事にも書きましたが「褒め殺し」のテクニックを巧みに使っている点です。
 これは5月にアレクシス・ダデン教授らが大量の学者の署名を集めて話題になった「日本の歴史家を支持する声明」に通じるものがあります。あれも戦後の日本の平和貢献を評価し、米議会での安倍演説をあえて「賞賛」することで、70年談話におけるさらなる譲歩を要求していました。また、中韓の民族主義や米国内の人種差別などに言及することで、日本の右派の反発を防ぎつつ、安倍政権に対して一方的に「清算」を要求していました。
 あの声明もこの談話も、相手を持ち上げたり自分の非を認めたりしながら遠回しに本音を盛り込んでいるので、どうしても冗長な感じにならざるを得ないんですね。SSG声明(セカイノサヨクガクシャ声明)は約3000字、安倍談話は3500字もありました。

 談話で一番強烈な殺し文句が「寛容への感謝」です。ストレートに「国際社会に寛容な態度を求める」なんて言ったら「戦犯国にそんなことを言う資格はない!」と叱られるのがオチですから、「許してくれてありがとう」と先に御礼を言っちゃうところがミソ。よくコンビニのトイレに「いつも清潔にご利用いただきありがとうございます」と張り紙してあるアレと同じです。
 でも、わざわざそんな張り紙をすること自体、トイレを汚す連中が後を絶たない裏返しでもあるわけで。

ですから、私たちは、心に留めなければなりません。

 戦後、六百万人を超える引揚者が、アジア太平洋の各地から無事帰還でき、日本再建の原動力となった事実を。中国に置き去りにされた三千人近い日本人の子どもたちが、無事成長し、再び祖国の土を踏むことができた事実を。米国や英国、オランダ、豪州などの元捕虜の皆さんが、長年にわたり、日本を訪れ、互いの戦死者のために慰霊を続けてくれている事実を。

 戦争の苦痛を嘗め尽くした中国人の皆さんや、日本軍によって耐え難い苦痛を受けた元捕虜の皆さんが、それほど寛容であるためには、どれほどの心の葛藤があり、いかほどの努力が必要であったか。

 そのことに、私たちは、思いを致さなければなりません。


 わたしの地元である長野県は満州移民を多く出した土地柄なので、引揚者や残留孤児に対する中国人の温情は、とくにサヨクのみなさんがしきりに強調するところ。それを根拠に「だから中国は怖くない」「日中友好バンザイ」という結論に持っていくのも一種のパターンです。
 安倍談話はそうした親中派の思い込みにあえて乗っかることで、現在の中共政府の反日プロパガンダは中国国内の民意から乖離していると暗に指摘しているわけです。

 また、あの当時は日本人の逃避行を助けてくれた現地人もいた一方で、ソ連軍の追撃や朝鮮人の襲撃が苛烈だったことも事実です。
 8月15日付の信濃毎日新聞では、安倍談話を報じる同じ紙面に『竹林はるか遠く』の広告が載っていて思わずニヤリとさせられました。

150815sinmai.jpgしわくちゃですみません

 あの本に対して韓国人がどのように火病を爆発させたかはウィキペディアに詳しいですが、要するに絶対悪たるべき日本人が、「被害者コスプレ」という自分たちのお家芸を奪ったことに、彼らは我慢がならないわけです。

2007年02月17日 中央日報日本語版
http://japanese.joins.com/article/714/84714.html
「『ヨーコの話』の最大の過ちは被害者と加害者を入れ替えた点」


 絶対的加害者である日本人には被害者ヅラする資格なんかない! という意識は、韓国人の多くに根強いようです。その典型が朝鮮日報日本語版が8月14日に掲載した「被爆国・日本の『犠牲者コスプレ』」というコラムでしょう。
 被爆者をコスプレ呼ばわりしている点はもちろん異様ですが、前半のシベリア抑留問題にまつわるエピソードの紹介の仕方も韓国人らしいものでした。

2015/08/14 朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/08/14/2015081401042.html
【コラム】被爆国・日本の「犠牲者コスプレ」

 同時通訳者にして作家でもあり、韓国にも固定ファンが非常多い米原万里の著書『魔女の1ダース』には、こんな話が出てくる。90年に東京で開かれたシンポジウムの通訳を務めていたときに経験したことだという。45年、ソ連軍が満州に進駐し、軍人を含む日本人60万人が抑留された。ソ連は抑留者をシベリアに連行し、長いケースでは10年間も強制労働をさせ、6万人が命を失った。ソ連は、ゴルバチョフ登場後にようやく抑留者問題に関心を持つジェスチャーをみせ、赤十字や歴史学者からなる代表団を送って対話をスタートさせた。

 シンポジウムの途中、ソ連の歴史学者が抑留者問題の端緒となった経緯を報告する際に、ソ連軍が満州に「入っていった」と表現した途端、事件が起こった。ある出席者が「日ソ中立条約を勝手に破っておいて、『入っていった』とは何だ」と揶揄して会場内は収拾がつかなくなり、騒がしくなった、ソ連の歴史学者は、あきれたというように見守っていたが、マイクをつかんだ。「うるさい! ならそのとき、あなた方はどこにいたのか。寝室にいたのか。満州があなた方の土地だというでもいうのか」。この一言で、ハチの巣をつついたようだった会場は、水を打ったように静まり返った。米原万里は、バランス感覚を欠いて自分の立場でしか物を考えない一部の日本人の厚かましさを、こういう形で皮肉った。


 ソ連は終戦間際に日ソ中立条約を破棄して満州に攻め込みました。シンポジウムでそのことに抗議した日本人が、ソ連の学者から「うるさい、満州はあなたたちの土地じゃない」と一喝されたという話です。コラムを書いたキム・ギチョル文化部次長は、その場面に出くわした米原万里氏の目線を借りて、日本人(の一部)は「バランス感覚を欠いて自分の立場でしか物を考えない」厚かましい連中であると批判しているわけです。

 でもねえ。日本人から言わせてもらえば、だからって満州がソ連(ロシア)の土地なわけではないですし、あのときのソ連軍の侵攻が朝鮮半島分断の直接的原因になったわけですし、ソ連の捕虜になってシベリア送りになった日本兵の中には朝鮮人もたくさんいたわけですし。
 そういうのをさっぱり無視して「日本ざまあ~~!」だけを言うためにソ連の言い分に同調するキム・ギチョル文化部次長の視野の狭さにはちょっとウンザリします。

 中央日報も2013年のコラムで「原爆は神の懲罰」と書いて日本から反発を受けてましたっけ。投下した側の米国メディアが正当化したがるのはまあわからんでもないですが、朝鮮人も多くの被害を受けたというのに韓国メディアが安易にそれを肯定するのはいかがなものかと思うんですよね。むしろ、日本のサヨクと一緒に精一杯"犠牲者コスプレ"に励んで米国に謝罪と賠償を求めればいいのに。

 でも、結局それをやらないのは、韓国に核武装という下心があるからでしょう。こういう韓国側の態度は、不寛容どころか好戦的って印象すら受けるんですが、日本のサヨクのみなさんは許せるんですかね? それとも「韓国人が心にもないことを言うのはアベのせい!」ってことなんですかね?

 こうして見ていくと、日本のサヨクと韓国は、アベという共通の敵のお陰で辛うじて共同歩調がとれているんだなという感じがします。また韓国国内ではすでに、政府&与党と、野党&メディア&民間団体では、安倍談話に対する評価に差が生じているようです。米政府がはっきりと安倍談話を歓迎している状況で、媚韓派のエド・ロイス米国下院外交委員長あたりが談話にどんな評価を下すのか、とても興味深いです。
 さらにいえばSSG声明に名を連ねたみなさんだって、今回の安倍談話に対してはそれぞれに評価は異なるはずです。

 安倍首相は褒め殺し談話を出したり朴槿恵大統領に下手なコリア語で媚を売ったりと、けっこう自分のプライドを二の次にできる人のようですから、今後もその調子で硬軟織り交ぜたイヤらしいやり方を展開していけば、反アベ勢力を大いに揺さぶることができるんじゃないかとわたしは思うのでした。
 もっとも、"軟"をやり過ぎると支持母体である国内の保守層をも揺さぶっちゃうおそれはありますけどw
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