対話教のためにはキンペー演説すら捏造する信毎

 さすがの信濃毎日新聞も、中国の軍事パレードを問題視する社説を掲載していました。

2015年9月4日 信濃毎日新聞3面

中国戦勝行事 「大国」にふさわしいか

 市民の日常生活を圧迫することもいとわずに大々的な軍事パレードを挙行し、存在感を内外に誇示する、それが「大国」にふさわしい振る舞いとはとても思えない。
 中国はきのう、「抗日戦争勝利70周年」の記念行事を開き、その一環として軍事パレードを行った。「10年ごと」の慣例を破り、建国60年の2009年以来6年ぶりである。諸外国の首脳らを広く招いたのは初めてだ。

 兵士1万2千人を動員。装備は全て国産で、対艦弾道ミサイルなどの新兵器をはじめ8割以上が初公開という。軍事力の強大さを示す意図は明らかだろう。東シナ海に進出を図る中国の行動は周辺国とのあつれきを招いてきた。国防費の増加は顕著で、軍拡路線は鮮明だ。習近平国家主席は演説で、中国は覇権を唱えず、拡張政策も取らないと述べたが、説得力に乏しい。
 米国に次ぐ経済大国となった中国は大きな影響力を持つ。アジアや世界の安定と平和に向け、責任ある大国として役割を果すことが求められている。軍事力を見せつける姿勢はそれと相反する。

 習指導部はことしを「抗日戦争と反ファシズム戦争の勝利70年」と位置づけている。第2次大戦の「戦勝国」の立場を強調して国際秩序の構築に積極的に関与する意思を示すとともに、共産党の権威を高め、一党支配体制の正当性を国民に訴える狙いがある。
 ただ、思惑通りには事は運んでいない。記念行事にはロシアのプーチン大統領、韓国の朴槿恵大統領らが参列する一方、欧米主要国の首脳は軒並み出席を見合わせ、安倍晋三首相も欠席した。
 国内では言論の締め付けを強め、パレード開催を疑問視したりする「デマ」を集中的に取り締まった。開催地の北京には厳戒態勢を敷き、交通規制や工場の操業停止、焦点の営業休止で仕事や生活に大きな影響が出ている。

 中国がいま取り組むべきは、国の威信を示すことではない。人々の声に耳を傾け、政治の民主化を前進させることだ。習指導部が自らの姿勢を問い直すことなしに、国際社会で幅広い信頼を得ることはできない。
 日本の向き合い方も問われる。習氏の演説からは対日関係改善への意思も読み取れた。習氏と朴氏の会談では、日中韓3カ国の首脳会談を10月末にも開くことで一致している。地域の安定に向け、対話を通じて信頼関係を構築する取り組みを強めたい。


 それなりに中国に苦言を呈したことについては褒めてあげましょう(上から目線)。でも案の定、結論は相変わらず芸のない「対話セヨー、タイワセヨー」の一本槍。

>習氏の演説からは対日関係改善への意思も読み取れた。

 はて、そうですか。この日の紙面で中国の抗日記念行事についての記事が掲載されていたのは1,2,3,5面。この中から習氏の演説について触れた部分を抜き出してみましょう。

1面

習近平国家主席はパレード後のレセプションで戦後世代に「正しい歴史観」を持つよう求め、謝罪に区切りを付けたい意向を示した安倍晋三首相の戦後70年談話を暗に批判した。歴史認識をめぐる対日攻勢の継続を宣言した形だ。
・・・
 習氏は記念行事の演説で「戦勝国」の立場を誇示。中国は覇権を唱えないと述べ、中国軍の兵力230万人のうち30万人を削減すると発表した。
・・・
【レセプションで(引用者注)】習氏は「侵略戦争以後に生まれた人であっても、正しい歴史観を持ち、歴史の教訓を心に刻まなければならない」と強調。「侵略戦争の否定は歴史をもてあそぶものであり、人類の良識に対する侮辱だ。世界中の人の信頼を失うのは必然だ」として、安倍氏をけん制した。


3面

 「侵略戦争の否定は人類の良識に対する侮辱だ」。パレード後のレセプション。習国家主席はロシアのプーチン大統領や韓国の朴槿恵大統領ら居並ぶ各国要人を前に、こう強調した。
 習氏は2日に会談した朴大統領と、10月末にも日中韓首脳会談を開催することで一致したばかり。安倍氏の戦後70年談話にも厳しい反応を示さず、日本に抑制的な対応をしてきたが、対日「歴史カード」を維持する姿勢をあらためて示した。

中国軍事パレードQ&A

A パレードに伴う記念行事で習近平国主席は「戦勝国」としての立場を誇示し、国際秩序構築に関与を強めることに意欲を示しました。終了後のレセプションでは、戦後世代に「正しい歴史観」を持つよう求め、謝罪に区切りを付けたいとした安倍晋三首相の戦後70年談話を暗に批判しました。


5面

 「日本軍国主義を徹底的に粉砕し、世界の中で中国の大国としての地位を再び確立した」。周主席は軍事パレードに先立つ天安門城楼での演説で訴えた。日本軍国主義を打倒して「大国」の一角を占めたという歴史観が、党の正統性を誇示するために今も必要な論理だからだ。


 わたしがチェックした限り、習氏の演説についてふれた部分は以上がすべて。これらのどこから「対日関係改善への意思」が読み取れるんですかね? 報道と主張がまったく噛み合っていません。三国首脳会談への同意を表明したのは演説のときではありませんし、兵士30万人削減も、たんに兵器の近代化によって不要になっただけだとあちこちのメディアで指摘されています。
(ちなみに、パレードでの習近平演説の全文は産経新聞に出ています→こちら

 中国には「歴史をもてあそぶな」「正しい歴史観を持て」などと他国に説教を垂れる資格はありません。そもそも中華人民共和国が大きな顔で「戦勝国」を名乗ること自体、日本人からすると「ハア?」ですよね。
 この日の信毎も次のように書いていました。

5面

その一方、軍事パレードを通じて「強国」路線を前面に出す中で、「抗日戦争はそもそも国民党が主導したものだった」という矛盾も露呈した。解放軍歴史研究室の研究員は記者会見で「日本打倒で中国が決定的な力を持った」と強調したが、「(当時の)主力はソ連、米国、英国の3カ国だった」と解説する国防大学教授の文章がインターネット上で流れ、共産党の歴史観への疑問が相次いだ。
 不満と疑問の声は、軍事パレードへの招待客にも及んだ。
 習主席が天安門で固く握手を交わした首脳の中に、戦争犯罪と人道に対する罪で国際刑事裁判所(ICC)に国際手配されているスーダンのバシル大統領の姿があった。ある中国人知識人は、ネット上でこう指摘した。「バシルを(平和を訴える)反ファシズムの式典に招待して連携を強化することは、中国も戦争犯罪に協力することになるのではないか」(北京時事)

【北京共同】・・・
 一方、上海市の企業に勤めている女性(38)は「社会や経済など国内問題の解決が大きな課題だ」と強調し「抗日戦争では(現在の台湾与党である)国民党政権が正面の戦場で主導的役割を果たした。(共産党は)国民党の功労を横取りしているのではないか」と疑問を呈した。


 こうした報道は、中国国民の冷静な声を紹介して日本人の警戒感を和らげようという意図かもしれませんが、むしろ、こんなデタラメで不誠実な共産党政権とまともな「対話」が成り立つのかという絶望感の方が大きくなります。
 そもそも、ファシズムとは「対内的には暴力的手段で民主主義的自由を奪い、対外的には帝国主義的侵略主義を主張するもの」(小学館『新選国語辞典』第七版)。天安門事件を認めず、オバマに「太平洋を半分こしないか」と持ちかけ、弾道ミサイルをおっ立ててパレードする中国こそ立派なファシズムじゃないですか。
 中国が信頼に値しない国であることは信毎すら認める現実なのに、ケンポー9条とタイワ砲だけでどうやって対峙すればいいんですか。日本と中国の軍事力の差は刻一刻と開いているのに、同盟国・友好国との連携を強化しないでどうするんですか。

 信毎の紙面上では、国際社会の現実とサヨクメディアの幻想との間で乖離が進んでいます。
 この日の時事まんがはとくに気持ち悪かったです。
150905sinmaia.jpg

 なにこれ。軍事パレードはただの冗談だよ~ん! ってことですか?
 これがサヨクのみなさんの国際感覚なのかと思うとため息が出ますね。中国のミサイルは見かけ倒しのハリボテだ、という皮肉が含まれているのだとしても。
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