韓国にとって朴裕河は信管つきサンドバッグ

 朴裕河氏起訴事件は、日韓関係にとって産経加藤氏起訴事件よりも危険な「地雷」になりそうな予感がします。

 加藤事件の場合は、
1.被告は日本でも「極右新聞」として知られる産経の記者。
2.被害者は韓国の現役女性大統領。
3.問題となった記事は、大統領の異性交友を匂わせるような下世話な内容。
4.記事のテーマは日本と直接は関係がない。
5.日本人が当事者のため、日本政府も直接関与せざるを得ない。

 日本の親韓リベラル派にとっては、言論の自由は保証されねばならないというタテマエはあるにせよ、本音のところでは「軽薄な極右記者がどうでもいいことに首を突っ込んで下品な記事を書きやがって…」と苦々しく思う心情があるわけです。
 加藤事件は日韓の外交問題にまで拡大しましたが、逆に言えば両政府の協議による政治判断で決着をつける道もありました(たぶんもう手遅れですが)。そもそも、朴大統領が寛大さを示せばそれで済む話でした(大統領本人はそんな気はないようですが)。

 一方の朴裕河事件は、争点が慰安婦論争の核心部分であるうえに、日本のリベラル系メディアからは著者を批判する声がほぼゼロです。そもそも『帝国の慰安婦』日本語版は朝日新聞出版から刊行されたもの。信毎も先の社説や過去の書評欄で好意的に取り上げてきました。
 朴裕河氏は、日本の左派右派双方から一定の評価を与えられている稀有な存在です。…ってことは、朴裕河氏を弾圧する検察と告発者(元慰安婦≒ナヌムの家)は、日本の世論全体を敵に回す可能性が高いわけです。

 なぜ朴裕河氏は日本人に好まれるのか。「日韓は喧嘩両成敗で仲良くすべき」という主張が日本人の心情になじみやすいという側面は大きいですが、それ以前に彼女が最初から持っている3つの「強み」が大きく影響しています。

①女性であること。
②韓国人であること。
③学者であること。

 従軍慰安婦は韓国人女性の被害が議論の中心です。ニッポンのオトコが「どっちも悪い」と発言すれば「被害者の苦しみを理解せずに一方的な正論を振り回すな」とバッシングを受けかねませんが、韓国女性が同じことを言えば日本の人権団体は何も言えません。
 しかもその女性が評論家やエッセイストなどではなく、立派な大学教授の肩書で、それなりに真面目な研究の成果として発表しているのですから無敵です。彼女を真正面から批判できる人間は、日本国内ではどうやら朝鮮総連系の人(たとえば鄭栄桓氏)くらいしかいない感じです。

 朴裕河裁判は原則として韓国の国内問題ですから、日本政府が表立って介入することはありません。裏返せば、法廷では外圧というブレーキが機能せず、韓国人の国民性が遺憾なく発揮されるということです。それに朴裕河氏って、陰気な黒縁めがねといい静かな語り口といい、論敵の嗜虐心をくすぐる雰囲気を持ってますよね。芯はすごく固そうですけど。
 現在の日韓関係では、ただでさえなんの戦果もないまま大統領が首脳会談に応じたことに、韓国民は不満をつのらせています。「慰安婦は売春婦であり日本軍の同志だった」「日本軍が朝鮮半島で女性を強制連行した事実はない」と公言してはばからない異端学者は、格好のガス抜き相手です。この「祭り」は、教科書の国定化で批判にさらされている朴槿恵政権にとっても悪い話ではありません。
 こうなってしまった以上、検察や裁判所が躊躇する必要はどこにもありません。

 でもそれをやってしまえば、これまで韓国が世界中で展開してきた反日活動は大きな逆風にさらされる可能性が出てくるでしょう。
 もうほとんど世間から忘れられておりますが、米国のダデン教授らが今年5月に発表した「日本の歴史家を支持する声明」は、慰安婦問題について「特定の用語・狭い法律的議論・きわめて限定された資料にこだわるのは、問題の本質から目を背けることである」と指摘し、「正確で公平な歴史」を究明する作業は「民族や性別による偏見に染まってはならず、国や個人の圧力・脅迫から自由でなければならない」と高らかに訴えていました。
 …これ、今回の事件にそっくりそのままあてはまってますよね。朴裕河氏を攻撃する側は、きわめて限定された資料を根拠に、朝鮮人慰安婦が全員強制連行だったことを認めろと迫っているんですから。ダデン教授らの放った援護射撃に慰安婦みずからが当たりに行くというか、日本を包囲するために埋めた地雷をわざと自分で踏みに行くというか。

 こんなアホな人たちに加勢して何の意味があるんだろう…わたしがもしあの声明に名を連ねたSSG187(セカイノサヨクガクシャ187人)の一員だったら、いまごろ絶対に虚脱感に打ちひしがれているところです。
 こうやって無茶な裁判がますます増えて、日韓の溝は修復のしようがない深さまで広がるんでしょうかね。ま、日韓関係なんて、戦争になりさえしなければ御の字、くらいに割りきったほうがいいのかもしれません。・・・靖国神社に爆発物を仕掛けた犯人の国籍は気になりますけど。

帝国の慰安婦
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テーマ : 従軍慰安婦性奴隷制問題
ジャンル : 政治・経済

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とても分かり易かったです。
彼女の表現は、韓国にかなり配慮しているように思いましたが、それでも叩かれてしまうなんて少しかわいそうですね。

> 彼女の表現は、韓国にかなり配慮しているように思いましたが、

朴裕河氏によれば、両国民に反省と譲歩を促すために、コリア語版と日本語版では少し中身を変えてあるそうです。
コリア語版は韓国人に対してより厳しい内容になっているのかもしれません。
まあ検察(というかナヌムの家)が問題視しているのは著者の主張の根幹部分なので、あまり関係ないでしょうけど。
「おたがいさま」は、日本人にとって民主主義や法治主義よりもずっと根本的な価値観です。朴裕河裁判の行方は日韓の将来を暗示するものになるでしょう。
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