聖女の終焉:道具としての価値がない道徳性に価値はない

 今回の「合意」について、わたしはこれまで何かと悲観的な物言いをしてきましたが、報道が積み重なっていくのを見ていて「ああ、これはもしかしたら本当に解決するかもしれないな」と感じるようになりました。つまり政府レベルに限らず、民間レベルでも「イアンフガー」が終息するかもしれないという実感です。

読売オンライン 2015年12月29日
http://www.yomiuri.co.jp/politics/20151229-OYT1T50122.html

政府、少女像の早期撤去を要請…韓国側も前向き

 日韓両政府が28日に合意した慰安婦問題を巡り、日本政府がソウルの日本大使館前に設置されている慰安婦を象徴する少女像を、可能な限り早期に撤去するよう求め、韓国政府も前向きに取り組む考えを示していたことが29日、分かった。

 日本政府高官が明らかにした。

 日本政府は、少女像の撤去が進まないまま10億円が拠出されれば、合意に対する日本国内の理解が広がらないとみている。このため、少女像の撤去に向けた韓国側の動きを注視する考えだ。



朝日新聞デジタル 2015年12月30日
http://www.asahi.com/articles/ASHDY54ZXHDYUTFK00B.html

日本の10億円拠出「少女像移転が前提」 慰安婦問題


 少女像の交渉はもつれた。韓国にとっても挺対協の説得が難しいからだ。日本は、韓国が設立する財団に10億円を拠出する条件として、少女像の移転を主張。韓国から像をめぐる内諾を得たと判断し、合意の決め手になった。複数の日本政府関係者によると、少女像を移転することが財団への拠出の前提になっていることは、韓国と内々に確認しているという。

日本政府関係者はこう語る。「韓国がこれからかく汗の量は半端ではない」(武田肇)


 「韓国の内諾なんて意味がない。どうせまた裏切られる!」とわれわれ嫌韓ネトウヨはすぐ嘆きたくなりますが、どうやら今回は様子が違うようです。
 慰安婦像の移転は事実上の合意事項であり、それが行われない限り合意の履行(10億円の拠出)に応じないという強い姿勢を、リークという形で日本政府が示したという事実が重要です。しかも朝日新聞までそれにのっかっている。
 こういう、相手国を突き放した一方的な物言いが表に出ること自体、交渉事では大きなリスクのはずなのに、まったくお構いなし。つまり主導権は日本政府側が握っている証拠でしょう。少しくらい相手が反発しようとも我々の立場は小ゆるぎもせぬわ!(蟇郡苛風)という自信の表れです。

朝鮮日報日本語版 2015/12/30
http://www.chosunonline.com/site/data/html

慰安婦合意:「不可逆的=韓国は北朝鮮並みに何度も約束を破る」


 慰安婦合意に登場した「不可逆的(irreversible)」という用語の適切さをめぐっても、いろいろな話が出ている。外交専門家らは、この用語について「何度も約束を破って信頼し難い相手に対し、何らかの措置を強制しようとする場合に使われる用語。北朝鮮の核をめぐる交渉で登場するが、通常の外交関係ではあまり使わない」と語った。

 今回「不可逆的」という表現には、日本側がこだわったという。29日付の読売新聞によると、安倍晋三首相は今月24日、岸田外相を首相官邸に呼び、慰安婦問題協議のための訪韓を指示すると共に「合意に『最終的かつ不可逆的』という文言が入らない場合、交渉をやめて帰るように」と注文した。

 韓国政府の元官僚だったある人物は「慰安婦問題に繰り返し言及する韓国を、日本は北朝鮮レベルと見ているということ。侮辱に近い表現を受け入れた」と語った。



 へえ、当事者たちはそれだけの自覚を持ってあの言葉を使ってたんですか。これは痛快だなあ。韓国側がこういう報道してくれると、われわれ嫌韓保守層も安倍外交への信頼を取り戻せそうです。…ってことで、日本側から「蒸し返し」が行われる可能性はますます減りました。ゲタは完全に韓国側に預けられたわけです。

 日本政府がこれだけ強気で交渉に臨めたのは、やはり米国の意向(よく言えば後ろ盾、悪く言えば圧力)という裏付けがあったからでしょう。
 国際社会は、各国政府も主要メディアも「歴史的な成果」と合意を歓迎しています。
 海外における対日批判の中心人物の一人であるコネチカット大のダデン教授すら、中央日報に掲載されたコメントを読む限り、合意を批判していません。
http://japanese.joins.com/article/140/210140.html
 彼女は「政策としてはオーケイと評価できるだろう」とし、「社会的側面では今後の展開に注目する必要がある」と述べるにとどまっています。
 この記事に登場する4人の米国人識者のうち、残る3人も合意を高く評価したうえで、「あとは韓国側に履行責任がある」と指摘しています。

ビクター・チャ氏/米戦略国際問題研究所(CSIS)韓国碩座

今回の合意は韓国の民間団体や政界から反対はあるもののプラスの合意であると評価したい。日本がその責任を認めたことは私の予想以上のもので、安倍晋三首相が朴槿恵(パク・クネ)大統領と電話で話までした。

今回の合意は最終合意という点でこれを履行する負担は韓国にある。国内の政治状況が複雑なだけに、政府は民間団体と政治的反発をしっかりと扱っていかなくてはならないためだ。



デニス・ハルピン氏ジョンズ・ホプキンス大学韓米研究所研究員

今回の合意は東京の立場からは外交的に非常に卓越したものだった。安倍晋三首相は今や全世界に対して「女性の人権を主唱する政治家」というイメージを示せるようになった。日本の長年の宿願だった国連安全保障理事会常任理事国入りも進めることができるようになった。

もう一つの重要な懸案は慰安婦少女像だ。日本は少女像を日本大使館の前から移動させることを望んでいる。しかし、私も数回少女像の元を訪れたが、韓国人にとってはこれはかなりの象徴だ。花が置かれたり、時には雨具を着せられたりする「韓国の自由の女神像」と言ってもいいだろう。このため少女像を倉庫に移動させるのは、事実上、不可能だ。おそらく3月1日にパゴダ公園に移されることもあるかもしれない。



デービッド・ストロボ氏/スタンフォード大学韓国学研究所副所長

韓日両国の合意は韓国と日本、双方に良い便りだ。過去にはこの問題の解決に失敗して相手に向けた怒りをますます高めたが、これは悪循環につながった。…両国国民は相手に対する悪感情を大きくし、第3国ではもちろん、私のいる大学ですらこのような現象が広がった。

合意は完ぺきでないかもしれないが韓国にとってはおそらく最善を得たものなる。国際社会で「慰安婦」問題をめぐり韓国に向かった道徳的支持は非常に広範囲だったが同時に薄かったのも事実だ。そのうえ国際法から見る日本の法的位置は韓国が考える以上に強かった。

「慰安婦」の合意を安倍首相が承認したことは、ニクソン大統領が中国に行って毛沢東と両国関係を正常化したことと同じだ。安倍首相は日本右翼の指導者であるため右翼の大部分は今回の合意を受け入れるだろう。…より大きなリスクは韓国内での反対だ。



 「元慰安婦への国際社会への共感は広かったが薄かった」「法的位置は日本のほうが強かった」「残るリスクは韓国側の問題だ」…こういうコメントが、産経とかではなく韓国メディアから報じられると、心底ほっとします。
 米国議会に跋扈するマイク・ホンダやエド・ロイスといったコリア・コーカスの議員たちも、下手な発言をすれば韓国政府の立場を悪くするだけですから、この件に関しては口をつぐむでしょう。

 そもそも、韓国世論が元慰安婦たちを聖女として祭り上げていたのは、29日の朝鮮日報が自白した通り、それが国際社会で日本をおとしめるための最高の外交カードだったからです。いくら彼女たちの道徳性が高くても、使い道のない道徳性に存在価値はありません。逆に今では元慰安婦や支援団体が反発すればするほど「安倍からあれほどの譲歩を得ても問題を解決できない無能な韓国」が世界に宣伝されてしまうのですから、これはキツい。
 韓国国内がこの有様なのですから、海外(特に米国)の韓国系反日団体も軽々しく動けないはずです。彼らに情勢を理解する知恵があるのなら、よほどのことでない限りわざわざ慰安婦像を新設して本国の足を引っ張るような真似はしなくなるでしょう。
 もし彼らが韓国人らしさを発揮して騒ぎ立てても、日本はこれまでよりずっと対処しやすくなるはずです。
 「慰安婦問題で騒いでも旨味がない」。朴槿恵政権が続いている間に韓国世論がこのことをきちんと学習すれば、次の大統領がレームダックを迎えても蒸し返されるおそれはありません。そのころにはハルモニたちもほぼ全員がお亡くなりになって、慰安婦問題は名実ともに過去のものになるはずです。

 なんて喜んでいるわたしですが、また別の報道があれば弱気になったりするんでしょうね。今年の年末は本当に落ち着かない…。
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テーマ : 従軍慰安婦性奴隷制問題
ジャンル : 政治・経済

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