産経を起訴すれば韓国に「勝ち目」はないと思う

 産経新聞が朴槿恵大統領を茶化したコラムが、まさかこれほどまでの騒ぎになるとはねえ。

 騒ぎの元となった産経のWeb記事はこちら↓

【追跡~ソウル発】朴槿恵大統領が旅客船沈没当日、行方不明に…誰と会っていた?
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140803/kor14080312000001-n1.htm


 要するに朝鮮日報が婉曲的に触れた"うわさ"を、産経が「証券街の関係筋の話」を援用しながら具体的に書いてしまったために韓国政府と世論の反感を買ったということですね。韓国側は、蛇蝎のように不愉快な日本の極右メディアに天誅を加える絶好の機会と考えたのでしょう。検察が動いたのは市民団体の告訴を受けたからですが、青瓦台も産経の責任を追及すると表明しているので、実質的に官民挙げてのバッシングです。
 国内であれこれ言われるのはまだしも、海外にまで醜聞をばらまかれてはたまらない、という韓国側の気持ちは理解できます。なにしろ日本も朴大統領の告げ口外交や米国内での慰安婦モニュメントなどに閉口させられた立場ですから。

 複数の韓国紙は、検察が加藤支局長を起訴する方針を固めたと報じています。

(朝鮮日報 2014/08/26)
産経ソウル支局長の処罰は朴大統領の「意思」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/08/26/2014082600616.html

 産経新聞の加藤達也ソウル支局長(48)が朴槿恵(パク・クンヘ)大統領に関する虚偽の記事を書いた事件を捜査している韓国検察当局は25日までに、セウォル号沈没事故の発生当日、朴槿恵大統領が大統領府(青瓦台)内にいた事実を確認したことが分かった。

 また、朴槿恵大統領の国会議員当時の元補佐官で、事故当日に大統領に会った疑惑が浮上したチョン・ユンフェ氏(59)も事故当日に青瓦台に行った事実はないことが分かった。検察は一連の事実関係を踏まえ、朴槿恵大統領とチョン氏が事故当日に会ったのではないかという疑惑を指摘した加藤支局長の記事は事実上虚偽だと判断し、今後の対応を検討している。
(中略)
 結局、朴槿恵大統領がチョン氏と会っていないという点が客観的に確認され、検察は加藤支局長が書いた記事が虚偽だったとの判断を下した。検察は加藤支局長が事実に反する記事を書いた行為について、情報通信網法が定める名誉毀損に当たるとみている。名誉毀損は「反意思不罰罪」に当たるため、被害者が処罰を希望しないという意思表示がすれば、それに反して公訴を提起することができない。

 ただ、検察は「既に青瓦台が民事・刑事上の責任を問うと表明しているため、朴槿恵大統領が処罰(を望む)意思を明らかにしたものと判断している」と説明した。


 個人的によくわからないのが、「朴大統領は問題の時間に疑惑の男と密会していなかったことが証明された→だから産経の記事は虚偽であり名誉毀損にあたる」という理屈。
 産経は「そういうウワサがある」と報じただけで、記事の中で「真偽の追及は現在途上だ」と明言しています。ですから産経の記事を批判したければ

①ウワサが存在しなかったことを明らかにする
②ウワサの存在を報道することが違法であることを明らかにする

 のどちらかでなければならないはず。韓国側は、そのへんの論理をわざとすり替えてるような気がします。
 ①については、ウワサの存在そのものは韓国最大手紙が記事にするほどですから否定のしようがないでしょう。②については、公人である大統領についてのこの程度の記事が名誉毀損にあたるのかどうかが判断の対象になるでしょう。
 それにしたって、そもそもは公務中それも大事故の最中に大統領が側近や閣僚の前から姿をくらまし、その時(青瓦台の)どこで何をしていたのかを本人がいつまでも弁明しないせいでいらぬうわさが立ったんじゃないですか。日本の総理大臣ではこんなことあり得ませんからね。

 韓国メディアはハンギョレ新聞http://japan.hani.co.kr/arti/opinion/18080.htmlを除いて「産経ざまあwwww」一色のようです。

 でも加藤支局長を起訴してしまったら、韓国側に勝ち目はない気がします。
 情治国家韓国のことですから、裁判では産経側が敗訴するかもしれません。むしろその可能性が高いでしょう。でもその間に韓国側が受けるダメージは相当なものになるはずです。

 韓国は「言論の自由」「民主主義」という国際道徳上の強敵を相手に、「大統領のプライバシー」「名誉」というひ弱な武器で立ち向かわなければなりません。そしてその戦いは自傷行為に近いものがあります。
 公判が開かれるたびに朴大統領のオトコ関係が取り沙汰され、彼女が国家的大事故の最中に「かくれんぼ」していた異常ぶりが取り沙汰され、メディア弾圧が取り沙汰され、三権分立のあり方が取り沙汰されるでしょう。そして公判のたびにそれらが海外に報道されるのです。反論すればするほどドツボにはまる――まさに日本がこれまで苦汁を飲まされてきた「慰安婦闘争」と同じ構図です。

 今回の問題に対してすでに在韓海外メディアの記者クラブは「高い関心を持ち、注視していく」ことを確認したとのことですし、http://sankei.jp.msn.com/world/news/140814/kor14081421010007-n1.htm、日本では左派系の神奈川新聞OGである江川紹子さんも苦言を呈しました。

サイゾービジネスジャーナル
「産経新聞に牙を剥いた「言論の自由」軽視の韓国 国内メディアの鈍さも浮き彫りに」 文=江川紹子
http://biz-journal.jp/2014/08/post_5824.html


 言論の自由というのは日本のメディアにとって左派右派問わず譲れない線ですから、裁判次第ではこれまで親韓的な態度を示してきた日本の「良心的」メディアとその読者にも嫌韓論が広がる可能性があります。

 しかも韓国側は8月9日の日韓外相会談で日本に正式に抗議を行い、これを外交問題にしてしまいました。日本側にしてみれば、「おまえんとこなんかうちの首相どころか天皇までしょっちゅう侮辱してるじゃないか」と言いたいところです。
 折しも韓国内では、保守層を中心に「日中&日朝関係が改善すればウリナラはハシゴをはずされて孤立するかもしれない」「このまま中国べったり外交してて大丈夫なのか?」という危惧が広がりつつあります。加藤支局長を起訴して騒ぎを大きくすれば、韓国の外交的選択肢はますます狭まることになるでしょう。

 韓国政府も、こうしたリスクの大きさを承知しているのかもしれません。でも大統領としては腹の虫が治まらないし、振り上げた拳を下ろしてしまったら世論から「弱腰!」と非難されるのは目に見えています。しかも韓国の国会はいま、セウォル号特別法案をめぐってぐっちゃぐちゃの状態。なすすべのない大統領にとって、産経叩きは頭痛のタネどころか格好の自慰ネタかもしれません。
 日本人からみれば、たとえ気持ちよくたって時と場所をわきまえろと忠告してやりたくなるところですが、なにせエリート検事すら公衆の面前で恥ずかしいことをして捕まっちゃったりするお国柄ですからねえ……。
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