「言論の自由」vs「女性の人権」、正義を手に殴りあう泥げんか(もっとやれ)

 産経前支局長の起訴が報じられた8日、日本ではウン万人ものネトウヨが液晶画面の前で「キターッ」とガッツポーズをしただろうと想像します。
 どう考えても韓国側に「勝ち目」はありませんからね。(参考:当ブログ2013.8.27記事)。
 
 日本の地方紙をリベラル思想に染めている共同通信も、メディア弾圧は死活問題ですから意外と力を入れて報道・解説しています。信毎紙面からご紹介します。

10月9日信毎5面

強硬策 報道の自由制約懸念

(要約)
 今年8月に産経新聞が件の記事を掲載した直後、検察は「悪意」による記事で朴槿恵氏の名誉を傷つけたとして捜査し、韓国語に翻訳したサイトの関係者の家宅捜索までかけた。しかし9月になって海外メディアなどが捜査に批判的な報道や声明を次々と出したことから、起訴猶予にして処分を棚上げすることも検討された。しかし野党議員が「大統領の男女関係」をより露骨な表現で口にしたことに対し、朴氏が閣議で「大統領への冒涜だ」と言明。この発言が圧力となり、検察は強硬策を選択した。


 この解説からは、韓国検察の主体性のなさがリアルに伝わってきますね。

大統領がお怒りだ、それっ憎き日本のウヨク記者をとっちめろ!
海外メディアに叱られちゃった。ど、どうしよう!?
やっぱり大統領がお怒りだ、起訴しなかったら殺されるぅ…!

 かっこわるい。
 今回はチョッパリの極右メディアが相手だったから検察も大統領府も強気だったんでしょうけど、もし同じ報道を中国メディアが行ったらどうなっていたでしょうね?

 その次の日には、韓国検察の苦悩wがさらに詳しく報じられていました。

10月10日信毎5面

「うわさの人物」被害者扱い
 韓国検察 公判維持へ立証に苦心


(要約)
 検察は朴大統領と密会した相手とうわさされたチョン・ユンフェ氏を8月に「参考人」として事情聴取。この時チョン氏は加藤氏(産経前支局長)の処罰を要求した。今回の問題は朴大統領への名誉毀損が争点であるにもかかわらず、検察は朴氏本人への聴取ができず彼女の意向が確認できなかった。しかし起訴にあたっては被害者感情を立証する必要があったため、当初は参考人として扱った人物に「被害」を訴えさせる方針に切り替えたとみられる。


 身内(朝鮮日報)のしたことには見ぬふりをし、問題の本質がウヤムヤになっているのにもかかわらず、被害者をデッチ上げてでも相手を有罪に追い込もうというその態度、慰安婦問題で日本を責めてきた韓国や日本のサヨク弁護士のそれとそっくりじゃありませんか。
 以下は記事の続きの引用です。

 関係者によると、大統領府は検察に朴氏の考えを伝えず、「大統領から事情を聴くなど想像もできない」(消息筋)雰囲気の中で捜査が行われた。大統領府関係者は、朴氏の意思は「確認できないし、今後も確認しない」と話す。
 検察は大統領府のユン・ドゥヒョン広報主席秘書官が「責任を最後まで追及する」と述べたことで朴氏の考えを忖度するしかなかったが、意向確認ができず捜査は遅延。産経記事が想起させた「大統領の男女関係」を、9月に他党議員が口にしたことに、朴氏が「大統領への冒涜だ」と発言したことで起訴の回避が許されないと判断、チョン氏という"補強材料"を加え処分に踏み切ったもようだ。


 日本のネトウヨの間では、検察が起訴に踏み切ったのは朴大統領の強い意思の表れだという認識が一般的のようですが、この記事によれば、明確な意向を示さない大統領の顔色を検察が必死にうかがった結果であるということのようです。
 たしかに政府のトップである大統領がみずから検察に口出しするのはよくないことなのかもしれませんが、今回は大統領本人が「被害者」なのですから、どうして態度を明らかにしないのか、わたしのような日本人には理解できません。
 外交に関わる問題だけに、大統領として露骨に検察を後押しするような態度は示せない、かといって加藤前支局長への怒りは収まらない。だからあえて距離を置こうとしているのかもしれません。でもそれはむしろ無責任な態度であり、完全な自滅行為です。

 外国人記者を安易に起訴したら世界中から批判され、日本との外交問題にも発展することは容易に予測できたはずです(まさか予測できなかったなんてことが…? まさかねえ)。
 日本がこれを理由に日韓首脳会談を拒否することはないでしょうが、会談が実現したら日本はこの問題を取り上げないわけにはいきません。その場合、当事者である朴大統領はどう応じるでしょうか? ただでさえ不器用な朴氏のこと、どう切り返せばいいか混乱してフリーズするか、声高にイアンフガーを叫んでごまかそうとするかのどっちかでしょうね。

 これまで安倍政権は、韓国について「自由や民主主義といった普遍的価値を共有している大切な隣国」と表現してきましたが、今回の起訴はこうした日本の期待を正面から裏切るものとなりました。
 8日の菅官房長官の記者会見でも、あの朝日新聞の記者が「日本と韓国は価値観を共有していると言えるか」という質問を投げ、菅さんが「民主主義国家の基本から大きくかけ離れている」と答えたとのこと(楽観Web)。
 韓国が自由主義国家の価値観から離脱すれば、安倍政権が推進する「セキュリティー・ダイヤモンド」の包囲対象になるでしょう。当然ですよね、なにしろ韓国は日本の集団的自衛権を公然と否定してるんですから。いずれ日本の同盟国を攻撃する気満々だという意思表示をしたも同然です。
 言論を弾圧する独裁国家というレッテルが明確になれば、韓国は日本政府だけでなく日本国内のリベラル系メディアからも見捨てられかねません。
 信濃毎日新聞も、今回ばかりは社説ではっきりと韓国を批判しました。

10月10日3面社説

支局長起訴 韓国政治の信用損なう

(要約)
 うわさ話を基にしたような情報を自社の名を冠したサイトに掲載した産経新聞の行動は軽率だったと言われても仕方ない。直接投票で選ばれた元首を記事に取り上げるときは、たとえ批判的な場合でも節度があってしかるべきだ。
 以上を割り引いても、外国メディアが国外のサイトに載せた記事に対し国内法を適用して罪を問うのは無理がある。権力の乱用だ。
 韓国は1080年代まで、民主化運動は弾圧されメディアの報道も当局の制約の下に置かれた。今度の訴追は韓国政治に強権的な体質が根強く残っていることをあらためて世界に印象づけている。残念なことだ。


 サヨクとしての矜持があるのか、文章全体の3分の1近くを産経新聞の批判にあてていますが、韓国語講座をレギュラー掲載しているほどの親韓派である信毎にとって、「残念」という表現は社として精一杯の抗議でしょう。しかも強権体質を「あらためて印象づけた」と書いていますから、ほかにもいろいろ問題があることを認めているわけですね。

 一方、言論弾圧の「被害者」という地位を勝ち取った産経は笑いが止まらないことでしょう。彼らにとって今回の件は「言論の自由」という正義を振りかざして韓国をバッシングできるまたとない機会です。「女性の人権」とやらでチクチク嫌がらせされた意趣返しをしてやろうと意気込んでいるでしょうし、われわれネトウヨもどうしたってそれを期待しちゃいます。
 信毎の11日2面にも、関連報道が小さく掲載されていました。

 産経前支局長「無罪勝ち取る」

(引用)
(前略)加藤達也前ソウル支局長(48)は、今月2日の取り調べの際に検事が、旅客船セウォル号が沈没した4月16日の朴氏の所在問題が韓国内で「タブー視されている」と明言したと明らかにした。
 (中略)
 韓国検察は、加東市が執筆した記事が、朴氏が4月16日に特定の男性と会っていたとのうわさを紹介することで事実でない男女関係を想起させ、名誉を損ねたと主張してきたが、捜査や起訴が朴氏の行動に疑義を挟むことをけん制する目的である疑いが強まった。
 加藤氏によると、検事は事故当日の大統領の所在問題を「韓国メディアで書いたところはない」とも主張した。


 当事者しか知り得ないネタで韓国の政治体制を批判し放題。それを取材して記事にしなきゃいけない共同通信には屈辱でしょうね。それでも報道の自由という普遍的価値を守るために、保守やリベラルといった思想の垣根を超えて共闘してる様子が美しいじゃありませんか(笑

 共同通信の一連の報道から察するに、朴槿恵という人は一種の発達障害、コミュニケーション障害ってやつなんじゃないかと想像します。側近との意思疎通も普段から電話やメールらしいし、カンペなしじゃ公共の場でろくにしゃべれないみたいし、記者会見も大嫌い。問題の発端となったセウォル号沈没時の「空白の7時間」も、検察が目算のない見切り発車で一線を踏み越えなければならなかったのも、その背後には同じ問題が横たわっています。

 ・・・隣国の大統領を障害者呼ばわりするのは冒涜ですかね? 外国人記者が外国のサイトに記事を掲載しただけで起訴されるくらいですから、わたしだって他人ごとじゃありませんね。おっと、誰か来たようだ。
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